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春和楼の「美食暗証番号」は?

 

中山路に威風堂々とそびえる春和楼の外観(周光輝)

 

飲食文化は都市文化の縮図と言われる。青島市に一軒のレストランがあり、青島と共に発展し、この街が美しく変遷する様子を見守り、市民のおいしい食事に対する欲求に応え、中国の奥深い飲食文化の伝統を継承してきた。そこはいくつもの称号で呼ばれる――「青島三大レストラン」「山東省無形文化遺産」「中国十大老舗飲食店」――その名は春和楼。

時は流れ、この街は変遷を遂げてきたが、この3世紀にまたがる100年余の歴史を持つ老舗は微動だにしない。

◎予約なしの方はお並びください

「階上の個室は満室ですから、お待ちください。約1時間でございます」。8月11日午前11時半、天津路と中山路の交差点にある春和楼の1階ロビーは食事に来た先客であふれ、店員はお客さんに順番待ちを告げながら、春和楼の美食の故事を紹介してくれた。

「定時に食事をされるには数日前に予約していただくことですね。そうでなければ並んでいただく外ありませんよ。特に今は青島旅行のハイシーズンですから食事の時間帯はいつもお並びいただいています」―――と店員は記者に説明してくれた。

「最近、多くの老舗レストランが閉店していますが、春和楼は上向きで、経営は安定成長しています」―と、春和楼レストラングループ有限公司の沈健基会長は語る。なぜ春和楼は100年も続けてこられたのだろう?

◎変らないこと―100年前の味

春和楼の変らない点は伝統的な山東料理文化の継承だ。「春和楼が衰えず隆盛を続けてきた最も大きな理由はその『老舗』の『老』の中身でしょうね」―18代目の当主・沈氏は次のような考え方を披露した。中国十大老舗レストランの一つとして、春和楼は昨今のライバルが持っていない独自の技術と深遠な文化を継承してきたからだ。

古い青島の人は「謙詳益の服を着て、盛錫福の帽子を被り、春和楼で食事をして、中和で芝居を見て、病気なったら宏仁堂で診てもらう」と言う。春和楼で食事をするのが青島っ子の自慢なのだ。

春和楼に足を一歩踏み入れると、濃厚な歴史の重みがひしひしと迫って来る。教育家の徐特立は恩師の間で食事をし、清末民初の政治家・康有為、梁啓超は維新の間、文学者の粛軍、粛紅は耕運の間、米国のライアンス将軍は将軍の間で食事をしたことがある……古色蒼然とした風格、100余年前の古めかしい写真、上品な古典的な美食――まさに100年の移り変わりを物語っている。沈氏は食事を作るということは文化を作るということであり、文化が作られれば、食事の半分は成功だ、という。

成功の残り半分は山東料理の精緻な味覚と美しさだそうだ。1891年に誕生して以来125年、春和楼は初心を忘れず、山東料理一筋を代代貫き、師匠から弟子に引き継ぎ、7代400人に及ぶ。山東唯一であり、全国でも数少ない。春和楼は調料理職人の育成に力を入れ、人材を輩出し、劉景倫、任荃、王海平、郭経瑋らの料理名人がここから生まれた。青島飲食業の発展に対する貢献は計り知れない。

古希の年に近い王海平氏は山東料理の調理技術の真髄を追求し、弟子の時から虚心に学び、劉景倫、任荃の秘伝を会得し、22年の歳月を掛けて、春和楼の料理長になり、30余国の代表団を迎えた。彼が作る香酥鶏(トリのから揚げ)、蟹黄魚翅(カニみそフカひれ)、竜鳳絲(エビ、トリ細切りいため)等の見た目が美しく、おいしい料理が良く知られている。中でも香酥鶏は山東省無形文化遺産に指定され、年間消費量は46万羽で、1分間に2羽売れている勘定だ。

多くの料理職人を育ててきたことによって、春和楼の伝統的に調理後術は代々継承され、時代が変わっても、伝統的な山東料理の味が保たれてきた。

「島城魯菜第一楼(青島一の山東料理店)」の看板が掲げられている春和楼のロビー(周光輝)

 

◎変ったこと―インターネットとの提携

1891年から2016年まで125年間、3世紀をまたいで、春和楼が倒れずしっかり屹立して来たのは改善を目指してきたことが重要な理由だ。

「時が移り変わる中で、生き延びようとすれば、自分自身を変えなければなりません」と、沈氏は次のように語った。店の環境、メニューの内容、経営理念などを時代の要請に合わせて刷新しなければ、時代から見捨てられてしまう。

1990年代初め、春和楼は深刻な経営不振に陥った。困難な状況に立ち向かうために、春和楼は積極的に変えようと考え、マーケットリサーチを徹底し、自ら置かれた位置を見直し、大衆に目を向け、民衆にサービスする道を考えた。「上から目線」のイメージを改め、消費者との距離を縮め、そうすることによって新しいお客さんを引き付けた。

目まぐるしく発展しているインターネット時代に、春和楼も積極的に「ネット参入」を果たした。沈氏は次のように語った。インターネットは春和楼の影響力を最大限に拡大した。今では、春和楼は青島ツアーで欠かせないヒット率最高のサイトになっている。この外、春和楼は積極的に第三者のeコマースプラットフォームを活用し、ネットショッピングにふさわしいメニューを研究開発し、人気を集め、目に見えて収益が上がってきた。「老舗+インターネット」は老舗に新天地を開くだけにとどまらず、老舗の古めかしいイメージを払しょくし、老舗の健全な発展に活力を与えている。

今日、「美食の暗証番号」とさえ言われる春和楼はさらに拡大発展の道を歩み始めている。ここ数年、春和楼はレストランを拡張し、中山路の総本店の外に、3軒の支店、3軒の餃子店、2軒の香酥鶏店をオープンした。(沈俊霖)

 

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