G20杭州サミット、タイミングの良い開催に

 

中国は今、世界で最も速く成長する国家の一つとして世界経済とグローバルガバナンスの将来に影響を及ぼすカギとなる位置におり、杭州サミットはまさに歴史的に重要な時期に開かれる。

ここ数年の間に中国は国際社会のなかで演じる役割が次第に能動的となり、経済グローバル化の塑像を造る制作者へとさらに成長した。それは2つのシンボリックな例により証明できる。一つは、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設で、同行は欧州とアジアから多数の国をメンバーとして迎え入れ、アジア地域のインフラ建設向け投融資の最も重要な機関となる。もう一つは「一帯一路」構想を提唱し、最も壮大なクロスボーダー成長戦略に注力していることだ。その他に、海外投資、人民元国際化、中国企業「走出去(海外進出)」などが、中国の世界的な影響力が多方面へ急速に広がったことを示している。

中国の重要性については、成長が減速しても経済成長率が依然として十分に人目を引く水準にあると同時に、中国がグローバル化の後押しに注力し、ウインウインを推し進めていることで示されている。経済パフォーマンスのみならず、グローバル化推進の責務を果たしながら、中国は成長と協力をベースとしたグローバル化モデルを世界へ提供。このモデルは有効需要を刺激する重要性を認識しており、金融政策のみに頼るものではない。西側国家はこの異なる政策の響きに耳を傾けなければならない。例えば米国は一部でインフラが損壊する状況に直面しているため、インフラ建設投資に力を注ぐ必要がある。

「より効果の高いグローバル経済・金融ガバナンス」は今回のサミットでもう一つの重要テーマとなる。間違いなくこの分野に存在するリスクは深刻化している。過去40年間で、世界経済の重心は先進国から発展途上国へと大きく転移したものの、グローバル経済ガバナンスの構造は相応の有効な調整が進まなかった。G20が実質的に主要7カ国(G7)にとって代わったことや、国際通貨基金(IMF)の出資比率と世界銀行の議決権をめぐる遅々とした改革は、最も大きな2つの変化と言えるかもしれない。ただ、IMFや世界銀行は主に西側諸国の資金に支えられており、発展途上国やアジアのインフラに対する投資という点では政治的な意志に欠け、資金手当も不足するため進展が緩慢だ。

中国は今、世界で成長が最も速い国家の一つとして世界経済とグローバルガバナンスの将来に影響を及ぼすカギとなる位置にいる。中国がG20杭州サミットで新たな富を創造する方案を打ち出せば、杭州サミットは歴史に永久に記されることになるだろう(文=英ケンブリッジ大学政治・国際関係学カレッジエキスパート研究員のマーティン・ジャック氏)。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年8月30日

 

 

 
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