中国の提案が世界経済構造改革を推進 G20サミット

 

グローバル経済が低迷を続けている。その深層レベルの原因はグローバル経済に内在する中長期的な構造的問題にある。国際的な経済・金融の枠組改革を深化させ、より効率の高いグローバル経済金融ガバナンス新プランをうち出し、主要20カ国・地域(G20)の危機対応メカニズムから長期的な効果を上げるメカニズムへというモデル転換を推進し、グローバル経済成長と国際協力の方向性を誘導することが、中国が今年のG20首脳会議(杭州サミット)での達成を期待する重要な成果だ。(文:張其佐・経済専門家、G20・新興国家発展戦略研究センター長)

現在、グローバル経済は全体として鈍化し、緩和を方向性とした金融政策では米国、欧州、日本などの発達したエコノミーの第2四半期(4-6月)の経済成長ペース低下の萌芽を摘み取ることは難しく、成長率は米国が1.2%、ユーロ圏が0.3%、日本はわずか0.2%だった。新興市場国は中国とインドの経済成長が相対的に安定していたほかは、成長率の鈍化をしっかりとくい止めることができていない。

ここからわかることは、グローバル経済に対する国際金融危機の影響がまだ続いているということだ。直近の科学技術革命と産業革命によってもたらされたエネルギーがなくなりかけており、従来型経済の体制と発展モデルの潜在能力も消滅に向かっている。2008年の金融危機が暴露した、米ドルが主導する従来型国際経済金融ガバナンス体制に存在する深刻な構造的欠陥とシステム的リスクが、グローバル経済構造のアンバランスをより深刻なものにしている。

グローバル経済の勢力図には大きな変化が生じた。だが従来型経済金融ガバナンスシステムにおける新興市場と発展途上国の代表権および発言権は現実にまったく見合っていない。国際通貨基金(IMF)における出資比率と投票権も日に日に拡大する経済規模と大幅にずれている。こうして従来型体制が新興市場と発展途上国に対する通貨のミスマッチを招き、新興市場と発展途上国は先進国の量的金融緩和政策(QE)のマイナスの波及効果によるリスクを押しつけられて、経済構造が長期的にバランスを失うことになった。

世界経済が直面する長期的な構造的アンバランスなどのリスクと課題は、G20に発足当初の危機対応メカニズムから長期的な経済ガバナンス体制へのモデル転換を迫る。中国はG20開催国のバトンを受け取った後、杭州サミットのテーマ「革新、活力、連動、包摂の世界経済構築」をめぐり、インフラの弱点分野への投資を促進して総需要を拡大することや、世界的で公平な秩序ある税金の国際的新秩序などの構造改革の9大優先分野と48項目の原則を確定した。これと同時に、長らく活動していなかって国際金融枠組作業チームを再開させ、より安定した強靱な国際金融の枠組を目指すG20の議事日程をうち出し、IMFの特別引出権(SDR)の利用拡大、グローバル金融セーフティネットの強化、IMFの出資比率とガバナンスの改革推進、主権債務の再編メカニズムの改善、資本流動のモニタリング・管理の改良などをめぐり、一連の実務的で操作可能な提案をうち出した。

実際、中国は構造改革の推進で、開催国として率先的に模範を示した。総需要を適切に拡大し、「過剰生産能力の削減、在庫の削減、デレバレッジ、弱点分野の補強、コスト削減」を重点とした供給側の構造改革を揺るぎなく推進し、その効果がすでに現れている。今年上半期の国内総生産(GDP)増加率は6.7%に達し、社会経済は安定的で健全な発展状況をみせ、グローバル経済の安定的成長に向けて重要なエネルギーを貢献してきた。

中国はより効率的なグローバル経済金融ガバナンスに向けて中国のプランをうち出した。ここには新興市場と発展途上国の代表権と発言権を強化したいとの希望が体現されると同時に、根本と末端を兼ね備えた成長促進の構想が体現されており、財政・金融政策を引き続き適切に活用して当面の課題に対処するとともに、構造改革を通じてグローバル経済成長の中長期な潜在力を引き上げるとしている。(編集KS)

 

「人民網日本語版」2016年8月31日

 

 
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