中国で開催されるG20サミットに期待を寄せる日本のエコノミスト |
9月4日から5日にかけて中国の杭州で開催されるG20サミットを控え、日本のみずほ総合研究所のエコノミストたちに取材を行い、G20についてのそれぞれの考えを語ってもらった。彼らは世界経済を支える役割は、杭州G20に集まる各国首脳の手に委ねられているとの見方を示しており、なかでも中国は、進捗が急がれる構造改革の推進と景気安定との均衡、そして為替政策の予見可能性という難しい課題に取り組むべく重要な責任と期待を負っているとしている。またG20には不安定な状態を脱し、安定成長への道筋をつける上で、重要な役割を果たしてほしいと期待している。人民網が伝えた。 安定成長の上で重要な役割を果たすG20の役割 みずほ総合研究所市場調査部主席エコノミストの武内浩二氏は、「金融危機からの回復には一定の成果がみられるものの、世界経済は依然として低成長が続き長期停滞への不安が付きまとっている。また、英国のEU離脱や資源価格の動向など世界経済にとっての不確実性を高める問題は多く、国際金融市場の混乱は頻発している」と述べた。 さらに、「こうした不安定な状態を脱し、安定成長への道筋をつける上で、G20の役割は重要である。具体的には、国際的な政策協調を進め、各国の実情に応じた数値目標などを共有化し、さらに相互チェックを行うことで実効性を高めるようなシステム作りが求められよう」と指摘した。 金融市場安定と持続的成長に向けた実効的な国際協調に期待 みずほ総合研究所市場調査部主任エコノミストの有田賢太郎氏は、「年初にみられた金融市場の混乱は足元で落ち着きを取り戻しているものの、一部新興国での資金流出懸念や地政学的リスク、世界経済の先行きへの不透明感はいまだ残存しており、こうした懸念に対する国際協調の観点でのG20の意義は引き続き大きい」と述べた。 有田氏は、「これまでのG20での実効的な政策協調の事例は限られる。例えば、昨夏に発生した世界同時株安後に実施されたG20(トルコ・アンカラ、9/4・5)においても、金融市場安定に向けた各国協調が期待されていたが、必ずしも市場の期待に十分に応える内容とはならなかった。同声明では、『いくつかの先進国において金融政策の引締めの可能性が高まっていることに留意する』、『通貨の競争的な切り下げを回避し、あらゆる形態の保護主義に対抗する』などの発信がなされたものの、実効性のある内容までには至らなかった」と指摘した。 また有田氏は、「今回のG20では、国際金融市場の安定にむけた金融政策面での協調に加え、持続的な経済成長にむけた財政政策・構造政策へのより実効的なメッセージの発信が期待される」との意見を述べた。 G20の中で重要な役割を担っている中国 みずほ総合研究所欧米調査部主席エコノミストの小野亮氏は、今回のG20における中国の重要性について、「アメリカのジャクソンホールで開催された国際経済会合では、日米中銀当局者から、景気を支えるための緩和手段は十分にあるというメッセージが発せられた。しかしそれは楽観的過ぎ、金融政策は限界に近づいている。むしろ、世界経済を支える役割は、杭州G20に集まる各国首脳の手に委ねられている。中でも中国は、進捗が急がれる構造改革の推進と景気安定との均衡、そして為替政策の予見可能性という難しい課題に取り組むべく重要な責任と期待を負っている」と語った。 みずほ総合研究所は、日本の三大金融集団であるみずほフィナンシャルグループ傘下のシンクタンクであり、日本で高い知名度を誇っている。(編集TG)
「人民網日本語版」2016年9月1日
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