「鮮」を求めて市場へ | ||||
朝6時半の東河市場では、68歳の張さんが赤い桶を提げて、賑わう市場の人ごみを行き来して、新鮮な食材を選ぶ。桶の中には金色のフウセイ、黒いムール貝、生きの良いワタリガニなど買ったばかりの海の幸だ。今日は家に来客があり、盛大な食事会を取り仕切る。舟山人にとって、毎朝市場に来て新鮮な海鮮を選ぶことは日課の一つになっているといえよう。 東河市場は現地でも最大で、沈家門漁港からの距離はわずか数百㍍だ。毎日船着場から直接海鮮が運ばれ、市場にはいろいろな魚、貝、エビ、蟹と、何でもそろっている。ここでは今まで見たことのないたくさんの海鮮が見られ、空気中には磯の香りが漂っている。地元舟山の魚だけでも100種類を超え、中でも最もポピュラーで1、2の知名度を争うのが舟山太刀魚だ。舟山漁場産の4大経済魚の一つだ(他3種はフウセイ、キグチ、イカ)。鮮魚店の店主、王さんの紹介では、舟山太刀魚は肉厚で、口当たりがふっくらしている。舟山のものは目が白くて、ヒレも白いが、別の地域の太刀魚の目は黄色くてヒレには黒い斑点があるそうだ。「太刀魚は四季を通じてあるけれど、冬が一番だ。夏の太刀魚は痩せていて、冬は一番脂が乗って美味しい」と熱心だ。
海鮮王国に身を置く舟山市民は幸福だ。なぜなら、漁期の新鮮な魚、休漁期の冷凍魚の他、ひものの魚の風味も絶品だからだ。「風」は舟山の方言では独特の動詞で、素材の水分を飛ばすことを意味する。舟山は海風があり、「風」こそが独特の味わいを作り出す。多くの魚を風で乾燥させているが、最も一般的なのがハモ。春秋(前770~前476)末期には既に存在していて、呉王夫差の大好物だった。漁の最盛期は冬で、ちょうど西北から強い風が吹きつける季節だ。新鮮なハモのワタを除き、風通しの良い日陰に干して作る。ひものになったハモは、中国語で「風鰻(フォンマン)」と呼ばれ、発音の似ている「豊満(フォンマン)」にかけて、縁起をかついで円満を現す。味はとても美味しく、舟山人の旧暦の大みそかの晩餐の食卓に必ず出されるもので、忘れられない思い出を含んでいる。
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