「仮面を剥がすところから」 |
後藤翔 「仮面を剥がすところから始めてみよう。」 そう強く感じた。 私はこの研修に参加するまで、中国という国に対して全くと言っていいほどいいイメージを持っていなかった。私の中で中国は、テレビや新聞等のメディアによる報道によって偏見や独断で塗り固められた分厚い仮面を被っていた。冷たい、日本を嫌っている、マナーが悪い、そんなイメージばかりだった。今振り返ってみれば、なんて自分本位で身勝手な印象だったのだろうと思う。 しかしそんなイメージはこの研修によって180度反転したといっても過言ではない。 人民中国をはじめとする現地でお会いした中国の方々は皆、私たちを手厚く歓迎してくださった。私がルームキーをなくして困っていた時ホテルの従業員の方は、中国語がしゃべれない私の意をなんとかしてくみ取って、手助けをしてくださった。露店で出会った陽気なおじさんは拙い日本語であいさつをしてくれた。よくわからないカードを買わされそうにはなったけれど。 そこに、私が抱いていたイメージの中国人は一人としていなかった。日本のメディアで報道される中国人は13億人のうちのほんの一部でしかなくて、実際に私たちが会って、触れ合った中国人はそれとはまったく違っていた。私の見ていた「中国」は日本という国が巧みに作り上げた虚像でしかなかったのではないだろうか。 研修1日目の中国人民大学での学生との交流会で「日中関係は、実際に見てみないと本当の顔はわからない」と中国の大学生が言っていた。彼の話す日本語は、日本人の話すそれに比べても遜色はなく、注意して聞かなければ日本人と間違えてしまうほどだったのを覚えている。確かにその通りであると、私は強く思った。もしかしたら、私たちが日本で見ていた中国の顔は仮面に覆われていて、自分で確かめたものこそが本当の顔なのではないだろうか。 私はこうしてこの文章を打っている間に、中国で出会った様々な優しい中国人を一人ひとり指でなぞるように大切に、丁寧に思い出している。彼らはみな、私に仮面を取って接してくれたし、私も当然「本当の顔」で接していた。 自分の目で見て、手で触れて、感じたものこそが「本当の顔」である。これから先の未来、日中関係の今後を担うのは私たち若者だ。そうなったとき、私たちが先頭に立って、日中関係の良好化を図っていきたいとこの1週間で思った。 来るべき未来に備えて、「仮面を剥がすところから始めよう」と思う。 |
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