「見たことのない中国の一面を新たに知った」

 

角南沙己

 今回の訪中では今まで見たことのない中国の一面をまた新たに知ることができ、とても楽しく充実した一週間でした。特に自分は日本人であるという立場をより意識し、客観的に中国人の目に日本がどう写っているのか、また日本は今後どう中国と接していくべきかを考える機会となりました。過去に六回訪中の経験がありますがまだまだ知らないことが多いと思い知らされ、つくづく中国の魅力を感じています。

  最も痛切に感じたことはいかに多くの人々が長い間、日中関係改善を望み一生懸命両国のために活動されてきたか、ということです。

「渡尽劫波兄弟在 相逢一笑泯恩仇」

 魯迅の残したこの言葉からは日中関係の未来に期待を持ち信念を貫く姿を感じられます。幼い頃唐招提寺で鑑真の像を見た私は、大明寺で鑑真像を見た時に不思議と忘れかけていた記憶との確かな繋がりを感じ嬉しく思いました。改めて歴史の深さに感銘を受けたとともに二国間の繋がりが見え、胸が高鳴ったのも覚えています。今回の訪中を通しての出会いの数々はどれも尊く素晴らしいものでした。人民中国の社員の方々、意見交換会で語り合った人民大学の学生たち、万里の長城で「我喜日本」と言ってくれた見知らぬおじさん、寝台列車の中で言葉の通じない私達の荷物を運び助けてくれたおばさん、揚州や書道についていろいろ教えてくれた優しいおばあちゃんたち...どの出会いも私にとってかけがえのないものとなり、心に深く刻まれました。

 私たち若者は実際にface to faceで中国人との交流を重ね、10年後20年後の日中関係のさらなる改善に努めていく責任があると思います。両国を理解しあうにはまだまだ時間がかかるかもしれません。正直中国という大国を学んでいて、素晴らしいと思える文化もあればなかなか理解が難しい部分もあります。中国に限らず他のどの国に対してもそういった両面を感じることは自然なことです。しかし一方的な見方で国全体を見るのではなく多方面から知ることが大切である、ということをこの一週間深く感じました。私達若者に出来ることは、自らの目でみて人と触れ合って信頼関係を構築し、感じた素直な気持ちを忘れることなく多くの人に伝えていくことだと私は思います。

 現地で多くの貴重な体験をさせて下さり、今まで知らなかった中国に気付かせてくださった人民中国の方々に深く感謝します。また、日本科学協会をはじめパンダ杯を支えて下さった全ての方に感謝したいと思います。そして素晴らしい受賞者たちと出会えたことを有り難く感じています。中国に関する十人十色の経験、思い出のある方々との交流はとても新鮮で幸せでした。メディアの報道は様々ありますが、多くの面で日本と異なる文化、習慣、国民性を持つ中国が私は大好きです。是非また中国を訪れ、より多くの中国人と交流をしてさらなる発見をしていきます!

 


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