習主席、ダボス会議で基調演説 世界経済に「処方箋」

 

中国の習近平国家主席は17日、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に出席し、基調演説を行った。

反グローバル化の動きが広がり、世界経済が持続的に低迷する中で行われた今回の演説は、経済のグローバル化の一段の拡大推進をめざす中国の姿勢を力強くアピールするものとなった。世界経済の回復加速に向け中国が打ち出した包括的な施策という「処方箋」ともいえよう。

習主席は演説の中で、経済のグローバル化とは、生産性の向上と生産様式の変化であり、経済が大きく変革するプロセスであると指摘。「かつての産業革命では、手作業から機械作業へと生産様式が移行したことで多くの失業者を生み出したが、これと同様に今日の経済のグローバル化もまた様々な歪みや問題をもたらしている。とはいえ、今の生活水準を産業革命前の水準に下げたいと願う者など存在するだろうか。経済のグローバル化は経済的なパイを拡大させる一方で、既存制度の不備により割を食う人を生み出す可能性もある。だが、経済のグローバル化そのものに問題があるのではない。問題を避けようとする姿勢や、多少の躓きで歩みを止める姿勢に問題があるのだ。指導者たるもの、こうした問題に果敢に立ち向かい、時代の趨勢に従って経済のグローバル化を推進し、これによる恩恵をすべての国と民族にもたらすよう努めるべきだ」と強調した。

習主席は演説で、「世界経済は長期にわたり低迷しているが、その問題の根源は成長の原動力の不足やグローバル・ガバナンス体制の構築の遅れ、世界経済の不均衡の拡大などにある」と指摘。こうした問題に対し、「革新駆動と協力・連携の維持に注力し、時代とともに歩み、公平性と包容性を堅持する姿勢で臨むとともに、活力ある成長モデルや開かれた相互利益(ウィンウィン)型の協力モデル、公正かつ合理的なガバナンスモデル、均衡ある発展モデルを創出するよう努めなければならない」との認識を示した。

また、中国は経済のグローバル化の恩恵に与るとともに、貢献もしてきたと強調。「中国が改革開放から38年の間に積み上げてきた成果は中国人の血と汗の結晶だ。中国は世界から様々な機会の提供を受けてきたが、中国も世界に対し、対外援助や訓練、交流などの貢献を行ってきた」とした上で、世界各国が中国の経済成長によるチャンスを積極的にとらえることを大いに歓迎するとも述べた。

改革開放路線の堅持、国策として進める新シルクロード経済圏構想「一帯一路」の推進、国際協力の促進を継続していくとした上で、中国は今後とも「大国としての責任」を果たしつつ、経済のグローバル化を率いていくとの考えを示した。(清華大学中国・世界経済研究センター研究員 程浩)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年1月18日

 

 

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