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教室で張麗先生が質問すると、子どもたちは元気いっぱい手を挙げる |
青島市西海岸新区の霊山島は「中国で3番目に高い島」だ。旅行シーズンを除いて、島に入る快速船は午前8時30分のこの1便だけで、乗りそこなうと翌日まで待つことになる。天気が悪い日は、この1便も欠航するかもしれない。
霊山島には12の自然村があって、常住人口2700余 のほとんどの家庭は農業、水産業、漁業、牧畜業を営んでいる。近年は、観光産業の発展につれて、島では少なからず漁師料理や民宿を始める世帯が増えている。古い平屋でびっしり埋め尽くされている島にある現代的な2階建ての建物が目を引く。中から朗々とした朗読の声が聞こえてくる――霊山島小学校だ。
ますます多くの子供たちが両親とともに島外で生活するようになり、児童数は年々減少している。霊山島小学校の孫賢会校長は記者に次のように語った。2008年に赴任した当時、学校には124人の児童がいたが、今では、56人に減り、最少の2年生は4人しかいない。教師は孫校長を含めて9人で、孫校長は全学年の体育を担当し、毎週22時限の授業を受け持っている 。
30歳の張麗先生の家は青島市内にあり、2015年8月、彼女は公募試験に合格して霊山島小学校の教師になった。週末は輪番で当直をしなければならないので、彼女が帰宅できるのは2週間に1回だが、その前提条件はお天気次第だ。「大風が吹いたり天気が最悪だったりする時は、帰るに帰られませんよ」
現在、彼女は1年生に国語、4学年に英語と科学を教えている外に、霊山島中学に通う2人だけの学生に生物も教えている。また1年生のクラス担任でもあり、このクラスには7人の子供がいる。彼女は彼らを「7個の小ヒョウタン」と呼んで、一人ひとりの子供たちを自分の子供のように見ている。
彼女の国語の授業を参観して、記者は、わずか7人なので、全員が問題に回答する機会があり、教室には熱気がこもっていることが良く分かった。彼女が言うには、人数が少ないので、教材を使う授業だけでなく、通常の授業でも、机をちょっと引いて、その周りに子供たちを座らせて討論させれば、彼らの大胆な発言も引き出せるそうだ。もしかしたら、こうした現状は、子供たちの勉強に効果があり、先学期の期末テストで、霊山島小学校の総合成績は全西海岸区で上位にランクされた。
張先生は学校の少年先鋒隊活動も担当し、学校の小さな屋根裏部屋に、「石の花創作室」を開設して、子供たちの想像力を掻き立て、精一杯、創作能力を高める一つの「新天地」を提供した。創作室には子供たちが絵を描いたさまざまな石がいっぱいで並んでいた。石は全て彼らが海辺で選んで拾ってきたものだ。また彼女は学校の少年先鋒隊に「小さい石ボランティアサービスチーム」を作り、環境保護、森林保護、敬老などの公益活動を展開して、子供たちのサービス意識と社会的な責任感の育成に努めている。
「選んだものが好きなものなのですから 、好きなように選ばせました」。島の生活条件は苦難に満ちているが、彼女は初心を忘れず、その志を変えなかった。彼女は子供たちの澄んだ目を見て、彼らの純真な笑い声を聞くと、自分が味わっている全ての苦しみに価値があると感じる。(文・孫飛)
人民中国インターネット版 2017年3月4日 |