中日軍事対立は誰を喜ばせるか?

 ――先ほど中国の空母が西太平洋と南海で訓練を行っている状況に言及されましたが、多くの日本メディアは報道の際にこれが脅威となるニュアンスを大げさに言い立て、さらに中国軍用機に対する「緊急発進」の回数がどれほど多くなったかを大いに取り上げています。これは中国の軍事力による日本威嚇行動だとお考えでしょうか? 

 中国が空母を保有するのは日本に照準を合わせたものでしょうか? 世界に展開している米軍が空母を頼りに海外で威嚇力を保つのと違って、中国が空母を保有した最初の目的は地域的近海防御という国防政策の需要にあります。中国は国連安保理の五つの常任理事国の中で統一が実現されていない唯一の国で、中国の台湾地区は大陸部とまだ統一されていません。『カイロ宣言』と『ポツダム宣言』では台湾が中国に復帰すべきだと明確に示されていますが、まだ復帰していません。そこには地域外のある大国の陰に回った邪魔立てがあるのです。中国が中華民族の統一を考えるのは当然なことで、これは中国人の宿願です。どの代の中国指導者も台湾の独立を許すはずがありません。しかし、地域外の一部の大国が台湾の分裂勢力が独立を求めて騒ぐようにそそのかし、台湾を中国から分裂させようとしている中では、中国が国防力を強化するのは当然なことでしょう。海空軍の訓練はこれらの勢力に対応するためです。

日本も、中国が東海において合理的かつ合法的な海空軍のプレゼンスを維持することについて、異なる考え方を持っているようです。例えば、日本は東海防空識別区を設置しています。米軍占領期に設置され、後に日本が受け継いだものですが、問題は中国の目の前まで迫ってきたことにあります。ですから、日本はなぜ「緊急発進」がこんなに多いのでしょうか? それは不適切で不必要なものだからです。それに、日本は毎日のように「緊急発進」の回数を報道し、中国が脅威を与えた雰囲気を作り出していますが、中国は実際には東海を通常飛行しているだけです。

その他、日本も米国も韓国も防空識別区を設置できるのに、中国に限って設置してはならないという理由はどこにあるでしょうか? 中国が防空識別区を設置するとすぐに異論を唱える声が出ました。戦争の罪を犯した敗戦国である日本が防空識別区を設置できるのに、中国は設置してはならないとは。これこそが根本的な問題なのです。

日本の友人たちは次第に中国の東海、西太平洋における軍事的プレゼンスに慣れるようにしたほうがいいと思います。それは常態化し、範囲がますます大きくなります。それは中国の経済成長につれ、世界各国との貿易活動がますます頻繁となり、中国の海外利益もますます多くなり、中国は軍事的プレゼンスを遠洋まで展開せざるを得ないからです。

例えば、インド洋航路において、中国は年間2兆㌦に相当する貨物が航路を往来しており、これは中国の対外貿易量の約3分の1を占めています。中国が輸入する石油、天然ガスなどエネルギーの60%はこの航路を利用しています。この航路でシーパワーがなければ、どうやって輸送の安全を確保するでしょう。中国のためだけでなく、日本を含む他の国が海賊またはテロ攻撃に遭遇する場合も、中国は当然、できる限りに安全保障を提供します。例えば、アデン湾において、日本の船舶が通航する時も中国はその安全保障に責任を負うのです。もちろん、日本もこの海域に護衛艦を派遣していますが、担当の地域は中国と違います。中国海軍がアデン湾で護衛した船舶は6500艘に上り、その半分以上は日本、米国、韓国、欧亜諸国を含む外国籍の船舶でした。この航路は国際航路で、誰が来ても、中国はその安全保障に当たります。中国は責任を負う大国です。そのため、中国は海上で一定の軍事的プレゼンスを維持するのが合理的かつ合法的だと思われます。この過程において、いかなる国の主権に損害を与えたこともなく、米国のように海外で多くの軍事拠点を展開したこともありません。

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