滕矢初委員:事態を難しくしているのは日本の権力者だ

王焱=文 

全国政協委員の滕矢初氏は指揮、演奏、作曲の分野で幅広く注目を集める、芸術的にも人格的にも優れた芸術家だ。現在は中国放送芸術団の国家一級指揮者で、中国音楽家協会理事などの役職に就いている。39日午前、全国政協の文学・芸術グループのグループ会議の後、『人民中国』記者は「中日国交正常化45周年における中日文学・芸術交流」のテーマをめぐって、同氏のインタビューを行った。 

インタビューの中で、滕委員は「1981年ごろ、中国青年連合会(全国青連)は日本青年協会と協力し、中国青年の訪日交流活動を行いました。私はそれによって初めて日本に行きました。私にとって初めての海外でもありました」と振り返り、まるで青年時代を、1980年代の東京を、生き生きと思い出したかのような笑顔を見せた。 

「あの時代、飛行機を降りてひと目見渡し、中日の格差が本当に大きいと感じたものです。経済と文化の上で、特にその格差は大きいものでした。印象深いのは日本の民衆が中国に対して本当に友好的だったことです。当時、田中角栄氏、二階堂進氏もわれわれに面会してくれました。中日の青年が一緒に集まると、すぐに中日両国は永遠に友好を続けていかなければならない、代々友好を続けていかなければならないという話になり、その感覚は特に良いものでした」。こう話す滕委員は幸福な表情に満ちていた。 

「秋田県を訪問した時のことです。われわれが来ていることを知って、現地の旧日本兵たちが駆けつけました。彼らは深々とお辞儀をして再三謝り、中国は彼らを捕虜にした後に親切に対応してくれたが、他の一部の国家では捕虜にした日本兵に苦役を課し、殺害しさえしたと話しました。それを通じて、彼らは中国人こそが本当に日本に友好的であると感じ、中日両国の友好が永遠に続くことを願っていると話しました。話しているうちに気持ちが高ぶり、ある老兵はひざまずいて感謝しました。老兵たちはみな高齢であり、われわれはすぐに抱き起こしました」 

あっという間に2017年になって、今では中日経済関係の緊密さは37年前の比ではない。しかし政治関係は逆に冷え込んでいる。事態を難しくしている問題点は、日本の権力の座にある人間から出ていると滕委員は考えている。「中国侵略の犯罪行為について、今の日本の権力者の態度はあいまいで、これを認めず、さらには米軍が彼らの肩を持つよう期待さえしています。こうした態度が日本の極右分子を増長させ、アパホテルの経営者が日本の南京大虐殺を否定する右翼書籍を客室に置くといったことさえさせているのです。中国と日本の友好の基礎は、まず日本が中国侵略の罪をはっきりと認めることにありますが、現在はこの点を認めることさえできていません。中国がどうして日本を信じられるのでしょうか。日本のメディアは常に中国が日本に友好的ではないと言っていますが、彼らはなぜ中国の民衆がこんなに怒っているのか、考えたことがないのでしょうか」 

「われわれ中国人も一日中日本の侵略がどうしたこうしたと言おうというわけではありません。中国人の哲学は『和をもって貴しとなす』を重んじるからです」と滕委員は続ける。「日本人は非常に勤勉で礼儀正しく、国民の民度も高い、多くの優れた点を持つ民族です。中日友好は双方にとって良いところがあり、もし中日が非友好的になり、対立にさえ発展するなら、どちらにとっても良いところがありません。もし当時中日友好交流に参加した日本の青年と再会する機会があったら、私は彼らにお願いしたいことがあり、それは後代の人に、日本が発動した中国侵略戦争は誤りだったと話してくださいという願いです。日本人は老世代だけでなく、現在の若者を含む人々が、この事実を明らかにし、はっきりと伝え、真摯に詫びる責任があります。それでこそ、中国人民は許し、中日は真の代々の友好を続けていけるのです」。

人民中国インターネット版2017年3月13日

 

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