脱グローバル化の雲が立ち込めるなか、ボアオ・アジアフォーラム2017年年次総会が23日に開幕した。4日間のフォーラムのテーマは「グローバル化と自由貿易の未来に向き合う」だ。
徐々に台頭する脱グローバル化の流れを受け、フォーラムに出席する専門家は「アジアの未来には大きな不確定要素が満ちている。現在の谷底を抜け出すため、アジアのメンバーは共同体意識をさらに強め、隣人を敵視する考えを捨てるべきだ」と指摘した。
梁国勇氏は「TPP離脱は、米国がアジア太平洋一体化の中で選んだ『疎遠』であり、この状況下アジア諸国は団結する必要がある。全体的に見て、TPPのつまずきはアジア自身の経済一体化にとって課題でもあり、チャンスでもある」と述べた。
梁氏は「地域経済発展の需要と自身の絶えず拡大する政治・経済的影響により、中国は積極的にリーダーシップを発揮し、アジア経済一体化を促進するべきだ。またアジア経済一体化は域外国の主導から地域諸国の自主決定へと変わるべきだ。そのうち地域包括的経済連携(RCEP)の推進が鍵となる。地域内の主要国は『政治的食い違いを乗り越え、経済協力を重視する』という原則を貫き、共通認識を早期形成し、RCEPと中日韓自由貿易協定などの重要分野で進展を実現するべきだ。アジア太平洋の範囲で見ると、トランプ大統領の就任による地域経済一体化の先行きへの悪影響が不可避だ。しかし自由貿易という歴史の流れを、逆転させることはできない。APEC枠組み内でアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の推進を継続し、最終的にアジア太平洋自由貿易体制を分散化から一体化に向かわせるべきだ」と指摘した。
中国社会科学院世界経済・政治研究所の姚枝仲副所長は「グローバル化は各国に対して、プラスとマイナスの二重の影響を生む。グローバル化により損失を被る自国の産業に対して、いかに合理的な補償を行い、悪影響を解消するかが重要だ。インド、ベトナムなどの急速に成長する国は現在、グローバル化が期待されている国だ。彼らには理想的な補償制度があるが、これは適当に制定されたものではなく、経済環境全体が良好で、経済のモデルチェンジがスムーズに行われる中で制定された。一定の社会保障ネットワークがあって、初めてグローバル化による悪影響を解消できる」と分析した。
「先進国はこれまで、多くの取り組みを行ってきた。米国は10-20年前に貿易救済制度を制定したが、実際にはこれは容易なことでなく、高い効果が得られなかった。実際にはグローバル化の発展により生まれる悪影響の解消は、世界的な課題であり、皆で取り組む必要がある」
ジョン・ホプキンス大学東アジア研究センター長は「中米両国が協力を強化し、世界経済のスタビライザーの力を発揮することに期待している。経済協力については保護主義を捨て、市場開放を拡大し、インターネットを枠組みとし両国の経済交流をさらに深めるべきだ。中米2大国のウィンウィンの過程で、脱グローバル化が自然と弱まるだろう」と判断した。
「一帯一路(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)の提案を通じ、アジアの経済体と欧州は良好な交流を形成し、グローバル化と産業チェーンの協力の良き見本となった」
中国銀行業監督管理委員会の蔡鄂生・元副主席はフォーラムの発言で「欧米の高い金融レバレッジ比率と比べ、欧州の実体経済は現在、安定的だ。共同発展により、グローバル化に原動力を提供できる。しかしアジアの共同発展の過程においても、金融の過度なレバレッジに警戒し、サブプライム問題の二の舞いを回避する必要がある」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年3月26日
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