文昌 
華僑の故郷の文化の美

 

文化的郷愁を誘う文昌鶏

文昌鶏は、海南で最も評判が高い伝統料理の一つ。海南に行ったことがない人でも、文昌鶏という名前は聞いたことがあるはずだ。海南には、「鶏がなければ宴会にならない」という言葉があり、どの家のどれほどの規模の宴会でも、文昌鶏がなければ宴会とはいえない。近代以降、文昌の人々の足跡が南洋へ広がるにつれて、文昌鶏の香りも徐々に島の外に広がり、東南アジア全体で人気のあるグルメとなった。

 ヤシの殻を食べる鶏

文昌鶏には次のような由来がある。言い伝えによれば、明代の名臣、丘浚(1418~95年)が海南に帰省し、北京に戻るときに文昌を通って鶏を何羽か持ち帰って憲宗(在位1464~87年)に献上した。それを食べた憲宗は「鶏出文化之郷,人傑地霊,文化昌盛,鶏亦香甜,真乃文昌鶏也!(この鶏は文化の里から来た。優秀な人物が出た土地は有名になり、文化が栄え、鶏もおいしくなる。まさに文昌の鶏だ)」とたたえた。こうして文昌鶏という名前が付き、評判が全国に広がった。文昌鶏は文昌潭牛鎮の天賜村が発祥地で、この村にはガジュマルの木がよく育ち、木の実には豊富な栄養があり、鶏はこの木の実をつつこうとよく飛び跳ねるため、特に歯ごたえのある鶏肉になると言われている。 現在、文昌鶏の故郷である潭牛鎮天賜村を訪ねると、村に入る前から鶏の澄んだ鳴き声がひとしきり聴こえてくる。村人の韓漢夫さんによると、現在、村には文昌鶏養殖基地ができたが、従来の放し飼いを主な方法として守っているという。エサにも飼料は使わず、干したサツマイモや米ぬか、花生餅(円盤状に固めた落花生の油かす)、コメなどを長時間煮たエサを与えて、8カ月間育ててからやっと販売する。韓さんは地面に散らばったヤシの殻を指しながら、「毎日、決まったエサ以外にも、ヤシをよくつついています。これこそ文昌鶏が甘くておいしくなる秘訣ですね」と笑った。

文昌鶏の盛り付けは鶏の原型になるようこだわっており、頭から足、肉から内臓まで、どれも味わいがある 

文昌鶏の伝統的な食べ方は「白切」だ。すなわち、塩、ネギ、ショウガ、ニンニクを少々入れ、25分から30分ほど煮こめば出来上がり。調理法は簡単でも、ひと味違う料理になる。出来上がった文昌鶏をきれいに皿に盛り付ける。薄い黄色でつやつやしていて、皮は薄くて歯ざわりが良く、肉は歯ごたえがあり、脂身がある割にしつこくない。おろしショウガやおろしニンニク、香菜、塩、鶏のスープ、それからライムジュースで作られた現地特製のたれをつけて、一口食べれば口いっぱいに香りが広がり、味わいが尽きない。まさにこの一口の文昌鶏こそ、故郷を離れた海南人が片時も忘れず心に留めているものであり、彼らにとって文昌鶏はすでにただの料理ではなく、懐かしさや郷愁、現地の味から生まれた文化を多く含むものだといえる。

 

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