パイプラインで生活一変

于林涛=文・写真

 ミャンマーのチャウピュ経済特区マデイ島の農民であるサイヤーウーさん(37)は2014年からターミナルで特殊車両を運転している。マデイ島のターミナルで行われている中緬石油天然ガスパイプライン(7)プロジェクトが彼に安定した高収入の仕事を与えてくれた。そして、この開発プロジェクトによって彼の住む村の住民の生活状況が大きく一新された。

 マデイ島の中緬石油天然ガスパイプラインターミナル
 

マディ島には学校や病院も

 ヤンゴンの農家で生まれ育ったサイヤーウーさんは09年にマデイ島の女性と結婚し、住居を島に3つしかない村の一つに移した。「8年前に初めて来た時の島と村は荒れ果てた大地で、電気も車が走れるような道路もなく、貯めた雨水を飲むしかありませんでした。島の村民は土地を耕し、海に出て漁をする生活を送っていたのです。しかし現在は石油パイプラインの建設によって何から何まで全てが変化しました。中国企業の資金援助の下、島の三つの村をつなぐ道路が通り、ダムや浄水施設が建造され、ダムの水を各村に供給する水道管も引かれ、さらに送電線が敷かれて学校や病院が建つなど環境が大きく変化しました」とサイヤーウーさんは話す。

 彼の言う石油パイプラインプロジェクトとは中国石油天然気集団(CNPC)とミャンマー石油ガス公社の合弁会社が建設した中緬石油天然ガスパイプラインプロジェクト建設工事の一部だ。この工事では中国とミャンマーをつなぐ平行した2本の石油供給管と天然ガス供給管を建設した。全長771㌔の石油供給管はマデイ島のターミナルを起点とし、全長793㌔の天然ガス供給管はチャウピュのラムリー島を起点とし、2本のラインは最終的に雲南省瑞麗市を通じて、中国国内のパイプラインネットワークとつながっている。

 子どものころから島で暮らしていたラートゥンさん(55)にとって、同プロジェクトが村民にもたらした最大の変化は彼らの視野を広げたことだった。以前の電気のない生活は世界から隔絶されたようなものだったが、「電気が通った今では一部の家庭がテレビを買い、ますます多くの村民が外の世界を理解し始めています」と、ラートゥンさんは話してくれた。彼によると石油天然ガスパイプラインの開発業者が村に電力供給設備を取り付けてくれたおかげで、今では毎日午後6時から夜10時まで時間制限付きだが電気を使うことができるという。そう遠くない未来にチャウピュ火力発電所が建設され、マデイ島に送電線が通えば村民は24時間電気を使うことができるようになる。

 島に現れたこれらの変化は全く村民の予想外だった。「最初、われわれは家の土地が政府に無償で収用されると思っていましたが、実際はそうではなく補償金が支払われました」。ラートゥンさんはこう話す。

 マデイ島石油ターミナルの責任者で、中国石油集団東南アジア管道有限公司(CNPC SEAP)マデイ島管理所所長の韓建強さんは次のように語る。「経済的な補償以外にわれわれはさらに現地の村民に仕事の機会を提供し、彼らのインフラを整備し、農業技術の習得をサポートしています。徐々にですが、村民にわれわれのプロジェクトが生活に不便をもたらさなかったばかりか、逆に多くの確実なメリットをもたらすものだということを理解してもらえました」。ターミナルで働く約500人の作業員のうち300人以上がミャンマー国籍の労働者で、その中の50人余りがマデイ島の村民だ。ターミナル建設工事の期間中は島の総人口の3分の1の、およそ1000人の村民が工事に参加した。

 

 中国企業はプロジェクトを請け負うとともにミャンマーに水汲み場をつくり、十分かつ衛生的な飲み水を提供した

 

ドイツの企業が環境アセスメント

 建設工事はマデイ島の村民の生活を変えただけではなく、ミャンマー国内にも国の税収、投資の収益分配金、パイプラインの通行料や越境費、研修基金などを含む目に見える経済効果をもたらし、社会や経済の発展と雇用創出を直接促進し、「一帯一路」沿線国であるミャンマーの国民の生活水準を向上させた。例えば通行料だけを見ても、ミャンマーは毎年1381万㌦の経済収入を得ることができる。また、毎年パイプラインを通じて中国に輸送される原油1㌧につき1㌦の越境費が中国から支給される。

 中緬原油パイプラインの年間輸送量は2200万㌧を設定しており、毎年ミャンマーには200万㌧の原油が入る。17年3月31日で天然ガスパイプラインの安全安定運転は1356日に達し、中国への輸送量は133・4億立方㍍になり、ミャンマーには15・5億立方㍍が入る。CNPC SEAP総経理で党委員会書記の姜昌亮氏は、中緬石油天然ガスパイプラインはエネルギー資源の海上輸送に伴うリスクを避ける戦略的なエネルギー通路を中国側にもたらしただけではなく、ミャンマーの経済発展のためにもなるエネルギー通路をつくったと述べた。

 同プロジェクトは中緬両国の投資により建設されたものであるが、建設と設備メンテナンスに関わった企業は中国やミャンマーの他に、インド、タイ、ドイツ、米国など数百社に及ぶ。そのうち、ドイツの企業は環境アセスメントを実施し、米国の企業は機械設備の一部を提供し、インドの企業は建設などの工事に携わった。姜氏は「多方面から参加があった国際的な協力プロジェクトとして成功を収められたのは、プロジェクトが始動してからわれわれが終始一貫して『善意・誠実、互恵・ウインウイン、共同発展』の協力理念に従っていたからだ」と述べた。

 

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