巨岩と渓流が織りなす山水世界

 

不思議な形の峰々の間を漂う雲霧が、武陵源に地上の仙境のような神秘的な雰囲気を添えている(写真・鄧道理) 

神業のような景観

「九寨溝では水を見て、張家界では山を見る」という言葉がある。張家界は、「300の奇峰が高くそびえ立ち、800の渓流がくねくねと曲がりながら延々と続く」場所で、訪れた人は皆、天地の間にそそり立つ気迫に満ちた奇峰や奇石に魅了され、神々の住む山や仙境にいるような気分になる。

 春夏秋冬、それぞれの季節で張家界は異なる景色を見せる。降雪の後の武陵源もまた別の味わいがある(写真・鄧道理)

この峰々が連なる奇観は何億年という時間をかけて、地球の地殻変動と絶え間ない流水の作用によって造られた。地質学者の考証によると、3億年前、張家界の辺りは一面の大海で、海岸にあった土壌や砂れきが少しずつ海底に堆積していた。時間が経つにつれて、堆積物は石英砂岩になった。そして、その後の造山運動によって、石英砂岩層が徐々に地表に出現。それから長い年月をかけて、流水による切削と風化作用によって、山体から一層また一層と大きな砂岩が剥がれ落ち、このような不思議な形の山の峰が形成された。国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は1992年、この一帯を世界自然遺産に登録すると発表。後に国際地形学会は、この石英砂岩の峰が連なる地形をそのまま「張家界地形」と命名した。

しかし、黄山や泰山などの名山に比べて、歴史上、張家界はほとんど注目されてこなかったといえる。1980年代になって、やっと有名画家の呉冠中氏(1919~2010年)によって発見され、彼の作品において、起伏に富んだ峰々が雲霧に包まれている張家界の絶景が描かれた。この名画が発表されてから、張家界の名声も一気に高まった。30年後の現在、すでに張家界は中国で最も重要な観光地の一つになっている。2016年、張家界を訪れた観光客の総数は6143万人。多くの観光客が張家界を一生のうちに必ず行かなくてはならない観光地だと考えている。

 

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