巨岩と渓流が織りなす山水世界

 

高所から山水を見渡す

張家界で山を見るなら、武陵源は外せない。張家界の市街地から車で出発すると、視界の遠くに連綿と連なる山々がぼんやりと見え、町の天然の障壁のようだった。40分後、武陵源観光エリアに到着。ここは張家界国家森林公園、天子山、袁家界、索溪峪という四つのエリアで構成されている。

天子山の麓から、ロープウエーに乗ってぐんぐん上がっていく。切り立った峰が次から次へと至近距離に現れる。山の峰が天を突く様子はまるで何本もの柄の長い矛のようだ。濃い黒味を帯びた色合いは威厳の力を感じさせ、また落ち着いた優雅さも感じさせる。そして、岩間から生えた青々とした松は尊敬の念を起こさせる。高度が上がるにつれて、薄い霧がゆっくりと山の峰の間を漂う様子が見えてくる。山風が吹くたびに、薄い霧は自由に動き、あっという間に姿を変えてしまう。

 長さ60メートル、幅1.6メートル、最高標高1430メートルもある断崖絶壁に沿って掛かる天門山ガラス桟道 (張家界市党委員会対外宣伝弁公室提供)

高所に着いて目を向けると、眼前の景色は山に対するいままでの認識を覆すようなものだった。峰々が連綿とどこまでも連なっている。異なる角度から見ると、現れる美しさも異なっていた。鋭い剣のような形、斧のような形、戸板のような形、手のひらのような形、たけのこのような形など、一つだけでそびえ立っているものもあれば、木々と寄り添ってそびえ立っているものもあり、珍しい形ばかりだ。ここでは、自分の想像力を精いっぱい働かせ、これらの奇峰に新たな生命を与えることができる。

目の前のいくつかの山の峰は、ふぞろいで、細く真っ直ぐで、逆さまに挿した筆のように空を突いている。言い伝えによれば700年前、この土地に住む民族のリーダーの向王が、明朝の皇帝の統治に反抗して、張家界一帯で独立王国を建て、自らを王とした。明朝の統治者は大いに怒り、向王と当地の人々をひどく抑圧した。向王は人々を守るために、ある高い峰から身を投げ、自分の一生を終わらせた。伝説では、ここが向王の自殺した場所だという。当地の人々は彼を記念して、向王が文書を書くときに使っていた筆から「御筆峰」と名付けた。

森林公園の北側にある袁家界は、神秘的な「パンドラの世界」といわれている。全世界で人気となり、興行記録を塗り替えた映画『アバター』の制作チームが袁家界にロケハンに来たとき、ジェームズ・キャメロン監督がここの絶景を気に入り、映画の中で使ったという。映画の中で、「パンドラ星」の空中に浮いている「ハレルヤ山」は、袁家界観光エリアにある「乾坤柱」を原型にしてつくられ、観光エリアは映画の人気を借りて10年に「乾坤柱」に「ハレルヤ山」という別称を加えた。現在、ここは張家界に来た観光客が必ず訪れるスポットの一つになっている。

武陵源では、山だけでなく川も楽しめる。全長10キロにわたる金鞭渓が東から西へと峰々の間を貫き、流れが峰を巡り峡谷を通って、山林を潤している。珍しい形の峰、清らかな流れ、峡谷、山林が互いに引き立て合い、雄大な山水画を構成している。渓流に沿って、高くそびえる峰や幽玄な谷の間を通り抜けると、春は色とりどりに咲き乱れる花々やちらちらと舞う花びらを楽しめる。夏は渓流で足を浸したり魚を捕ったり、涼しくて心地良い。秋は紅葉に染まる木々を見て、清々しい気持ちになる。冬は真っ白な雪が積もって、趣きがある。

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