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山里でトゥチャ族の風情に浸る | ||||
築100年を経た吊脚楼 張家界市から60キロ離れた王家坪鎮は、湘西(湖南省西部)山地の北東部に位置する。ここでは山々の起伏が連なり、美しい馬頭渓がその間を流れている。古い歴史を持つトゥチャ族がここに代々居住し、彼らの伝統習俗も完全に保存されている。 「トゥチャ」という名前には、山奥に住む人々という意味がある。山々に囲まれた王家坪鎮の石堰坪村には、900人余りのトゥチャ族の人々が暮らしている。さらさらと流れる馬頭渓を越え、田畑の間の小道を通る。道の両側は鮮やかに咲いた黄色の菜の花ばかりで、静かな田園風景が広がっていた。菜の花畑の奥には吊脚楼がある。石堰坪村には182棟の吊脚楼が保存され、張家界のトゥチャ族の居住地の中で最も完全に保存された村となっている。しとしとと小雨が降る午後、われわれは村民の張さん(52)の家にお邪魔した。 張さんの家の吊脚楼は山に沿って建っていて、灰色の瓦と深い褐色の木の板が年月を物語っており、とても落ち着いていて、上品な雰囲気だった。屋根の反り返った軒先は、羽を広げたタカのように、英気に満ちている。一方、軒先の下の格子窓や、つり下げられた赤い灯籠は吊脚楼に精巧な美しさと繊細さを付け加えていた。
庭は建物に3面を囲まれた「撮箕口」の形になっていた。庭の中央が母屋で、母屋の中央が「堂屋」で、賓客を迎えたり冠婚葬祭を行う場所だ。堂屋の正面の木の板の壁に神棚があって、歴代祖先の位牌が供えられている。堂屋の左右は寝室で、左側が尊いとされ、両親が住む。右側は卑しいとされ、子どもが住む。母屋の片側は吊脚楼で、吊脚楼の3面は宙に浮いており、何本かの太い円柱が石の土台に固定され、家屋全体を支えている。吊脚楼の下は広々として明るく、風が通って乾燥しており、湿気を防ぐことができる。湖南の有名な文学者の沈従文(1902~88年)は『湘西散記』の中で、「人家の吊脚楼の下で子ヒツジが鳴いている」と書いた。しかし、張さんの家の吊脚楼の下ではブタとニワトリが飼われていた。張さん一家はここで4代にわたって暮らしてきた。「この家には私のおばあさんのおばあさんの代から住んでいます。もう100年以上の歴史があります。古くなっていますが、やはり住み心地が良いですね」と彼は話していた。
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