山里でトゥチャ族の風情に浸る

 

 山の歌を歌いながら遊ぶ女性たち。身に着けているのはトゥチャ族伝統の絹織物「シランカプ」だ

絹織物と民族舞踊

トゥチャ族の人々は自分たちの文化に誇りを持っており、中でも彼らの伝統工芸の一つである絹織物によって広く天下に知られている。張さんに連れられて吊脚楼を見学したとき、彼の奥さんの王さん(48)がちょうど軒先で細かい作業に集中していた。王さんが手に持っていたのはトゥチャ族伝統の絹織物で、彼らの言葉で「シランカプ」という。「シラン」は布団の意味、「カプ」は花の意味で、「シランカプ」はつまりトゥチャ族の人々の花の布団ということだ。

トゥチャ族の女性は勤勉でつつましく、幼いころから機織りや刺しゅうをする。トゥチャ族にはかつて、若い女性が靴の中敷きに刺しゅうをして、好きな男性に贈るという伝統があった。この伝統は母親から娘に代々伝えられた。現在、この伝統はもうほとんどなくなっているが、依然として多くのトゥチャ族の女性がこの技を身に付けている。トゥチャ族の絹織物の特徴は、洗練された構図、豊富な模様、鮮やかな色彩だ。王さんは自分の孫のベストに刺しゅうをしているところで、すぐに一つの花の模様が出来上がった。彼女の話によると、大抵下絵はなく、自分の想像だけに基づいて作るのだという。技の巧みさに驚きを禁じ得ない。

王さんが針仕事をしていると、突然遠くからひとしきりドラや太鼓の音が聞こえてきた。近くに行ってみると、数頭の草獅子(麻や稲わらで編んで作る獅子)がリズムに乗って左右に舞い、体をなめたり、かゆいところをかいたりして、生き生きと真に迫っていて面白い。村民によると、この草獅子舞は村民の労働と生活から生まれたもので、毎年収穫の時期になると、村民が集まって草獅子舞を踊り、来年の天候が順調であるように祈るのだという。草獅子の踊りが終わると、揚叉舞が始まった。トゥチャ族の女性たちが手に揚叉(先がV字になった農具)を持ち、稲を刈り取った後にひっくり返しながら干すような身振りで踊ったり歌ったりする。リーダーの龔桂梅さんは今年82歳だが、依然として動作が力強くたくましい。「トゥチャ族はみんな親切で来客をもてなすのが好きです。普段時間があれば集まって歌ったり踊ったりしてますよ。楽しい気分になる上に心のつながりも持てます」と彼女はほほ笑んだ。

 揚叉舞を踊る村民たち。唐代に始まったというこの踊りは現在でも継承されている

これこそ伝統的なトゥチャ族の村落だ。ここには静かで穏やかな田園風景があり、純朴なトゥチャ族の人々がいる。都市の騒がしさに疲れた人が、ここに気晴らしに来たら、きっと気分が明るくなるだろう。

 

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