対外経済貿易大学国際経済学院副教授・西村友作
中国共産党第19回全国代表大会(第19回党大会)開幕式が現地時間18日午前9時に人民大会堂大ホールで行われ、習近平総書記が第18期中央委員会を代表して報告を行った。報告によると、この5年間で、中国経済の建設は重大な成果を収め、サプライサイドの構造性改革が進み、経済構造が合理化され、デジタル経済などの新興産業が発展した。
デジタル経済というと、近年中国では、スマホ決済や宅配サービス、シェア自転車、配車サービスなどのニュービジネスが急成長しており、日本のメディアでも数多く報道されています。
これらの共通点として、大きく「信用の担保」と「社会問題の解決」という二点が挙げられます。
まずは「信用の担保」についてです。
Eコマース黎明期の2000年代前半、インターネット上では購入者と販売者の信用関係が希薄でしたが、「タオバオ」を運営するアリババが間に入り金銭的な責任を持つことで、安心して買い物ができる環境を提供しました。これが「アリペイ」です。経済活動に必要不可欠な「信用」を「担保する」というビジネスモデルで、タオバオは大きく成長したのです。
その後、スマートフォンの爆発的普及に伴い、テンセントのウィーチャットペイも登場。それら第三者決済プラットフォームをベースにした様々なニュービジネスが誕生しています。
アリペイやウィーチャットペイが購入者と販売者の間に入ることで、入金が確実で未払いが防げます。また、様々な業者が提供する商品の質、サービスなどに対しても信用評価システムが採用されているので、販売者の「信用レベル」が一目瞭然で、購入者は購入するかどうかの参考にできます。高い評価をもらえれば宣伝広告費もかけずに検索上位に並ぶことができるため、サービスレベルの向上にも一役かっているのです。
最近では、アリババグループが「胡麻信用」という企業や個人の信用スコア事業を始めており、今後はこれを利用した様々な事業が展開されると予想されます。
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