リラックスし活力養う

 

 成都独特の耳かきのサービスも受けられ、あらゆる場面でリラックスできる

  生粋の成都人である王さん(76)の1日は多くの成都人と同様茶館から始まる。空が白み始めたころ、王さんはあくびをしながら家を出て、熱気と喧噪にあふれる茶館へ向かう。茶館に着いたらまずはお茶で口をゆすぎ、それから清々しい香りが立つ熱々のお茶をぐいと飲み干す。

  王さんは笑いながら「一杯のお茶をお腹に入れてやっと目が本当に覚めて来る感じがします。一瞬で頭がすっきりし、全身に力がみなぎりますよ」と話してくれた。 王さんがしょっちゅう訪れるこの茶館は人民公園の中にある。20年代に建てられ、90年以上の歴史を持つ鶴鳴茶社という茶館は成都では知らない人がいないほど有名だ。茶館には籐椅子や木製テーブル、青花磁器のふた付き茶器、壁のないあずまやといった典型的な四川風の建築物があり、その一つ一つが伝統的な成都の雰囲気を感じさせる。

茶館は9時にならないうちにいっぱいになる。何人かが一つのテーブルを囲んでお茶を飲みながら談笑して話に花を咲かせている人々もいれば、1人で本や新聞を読んだり、目をつぶって静かに休んでいたり、おのおのやりたいことをやっている。成都の茶館には気ままな雰囲気が漂っているが、お茶を入れることに対して成都人は並々ならぬこだわりを持っている。彼らが最も好むのが「ふた付きの茶器」だ。いわゆるふた付きの茶器はふたと茶碗と皿の3点セットのことを言う。ふちが広く底が小さい茶器はお茶を入れるのに適しており、ふたには保温と「蒸らし」の効果があり、お茶をより良く味わえ、皿は茶器の底を支え、茶器が熱くて持てなくてもそこを持てばお茶を飲むことができる。小さな3点セットにはこのような工夫が施されている。

お茶を入れる際には必ず沸騰した熱湯を注ぐが、最初は器に半分注ぐだけで飲まない。成都人はこれを「養葉子(茶葉を育てる)」と呼ぶ。乾燥した茶葉が潤ってきて葉っぱが開いてきたら2回目のお湯を注ぐ。給仕が注ぎ口の長いやかんを片手に持ち、もう片方の手で茶器のふたを開け、熱湯を注ぐと熱対流によって茶葉がお湯の中を跳ね回り、そしてまた底に沈んでいく。こうして、人々を引き付ける黄色がかった緑色で香り高いお茶が出来上がる。お茶は茶器のふちまでなみなみ注がれているが、全くこぼれていない。お茶を入れ終わると給仕が手を伸ばして小指を使ってふたを閉じる。一連の動作はあっという間に行われ、その一瞬の出来事に見る者は感嘆させられる。これこそ成都の茶館の伝統の技であり、茶館が誇る芸術だ。

 

 

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