100年で流行の地に

 「成都美人」は、成都の街と同様に、さっぱりとしつつもリラックスした雰囲気を持っている

上海の話題に必ず南京路の名前が出るように、北京に行けば王府井が避けられないのと同じく、成都の繁華街といえば自然と頭に春熙路が思い浮かぶ。春熙路は外から来た人が必ず訪れる場所であり、また生粋の成都人の思い出あふれる場所でもある。

24年に造られ始めた春熙路は90年以上の歴史を持つ。春熙路は最初、その建造者で四川の軍閥・楊森の肩書である「森威将軍」にちなみ「森威路」と名付けられた。その後、老子の『道徳経』の「衆人熙熙,如享太牢,如登春台(大衆は喜々として、まるで盛大な宴会に参加したようで、また春に高台に上って花見を楽しんでいるかのようだ)」を典拠にして春熙路の名前になった。この名は商売がにぎわい、人々の喜ぶ顔と往来が絶えない風景を象徴している。昔は南北を通る1本の小道が、100年近い時を経て今では成都で最もにぎやかな繁華街へ発展した。

 今と昔、流行と伝統がバランス良く溶け合っている太古里

春熙路は改修工事をするたびに大きくなり、特に2014年に付近で国際金融センター(IFS)と遠洋太古里ショッピングモールが立て続けに完成してから、その一帯は中国屈指の有名な繁華街の一つになった。国際的なトップブランドが100店舗以上軒を連ね、現代の都市部で生きる流行に敏感な多くの若者たちの注目を集めている。そして春熙路は発達した商業施設以外にも「美人天国」としてその名が知られている。湿潤な気候に加えて日照時間の少ない四川の女性は肌が白くてみずみずしいといわれており、春熙路で買い物をしているときに街角ですれ違う「成都美人」の端麗な容姿が目に映ると、この街への好感度もいっそう高まるだろう。

IFSは成都の流行の最先端をいくランドマークのような存在だが、人々の目をくぎ付けにするのはまばゆく豪華な店ではなく、壁をよじ登ろうとする「パンダ」像だ。侵入者のようにビルの壁をやんちゃに上るパンダの無邪気な様子とあっ気にとられた表情が人々の笑いを誘い、成都の新しい観光名所となった。空高くそびえ立つIFSからほど遠くない場所にある、古色蒼然としたれんが造りの建築物からなる「太古里」も人の往来が激しい。太古里は買い物、飲食、芸術などが一体となったオープン型のショッピングエリアで、成都のファッションを追い掛ける人々が行き来する場所でもある。

 方所書店の独特なデザインが大勢の若者の心をつかんだ

太古里で買い物を楽しみ過ぎて疲れて気分転換したくなったら方所書店に行ってみるといい。ここは太古里地下に建てられた4000平方㍍の面積を持つ超大型書店で、高さ8㍍もある天井と37本のデザインの異なる支柱によって独特な都市文化を持つ公共空間が形成されている。ここには美しい装丁の原書の他に、日本や台湾地区や中国大陸のデザイナーによる茶器や酒器などの実用的な工芸品も売られている。さらに奥へ進むと2階建ての喫茶店がある。大学生の孫暁さん(21)はこの書店の常連だ。ここではお気に入りの本を手に、ゆったりした音楽の音色に身を委ねるだけで午後のひとときを過ごすことができる、と話してくれた。 新しく出現したこれらのショッピングスポットは人々が持つこれまでの成都のイメージを覆し、都市に前衛的で流行の先端を走る新しい息吹をもたらした。一方、太古里を出てすぐ近くの大慈寺へ行ってみると、線香の煙がゆらゆらと立ち上る古刹があり、その茶館は人であふれ、竹製の椅子、木製のテーブル、ふた付き茶器など全てが昔のまま残り、のんびりゆったりした成都を見ることができる。古さと新しさ、国内的と国際的、保守と前衛といった相矛盾するように見える要素が成都では互いの邪魔をしないように調和して共存している。

 

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