縁側(套廊)

2017-11-30 16:19:29

文=福井ゆり子

 

かつての日本家屋には必ずあって、現代に生きるわれわれが、ことのほか郷愁を感じるもの、それは縁側だ。縁側は、辞書の定義によれば、「家の座敷の外側に設けた、細長い板敷の部分」であり、いわば座敷(畳が敷かれた部屋のことで、居間や客間として使われる)の延長であり、廊下としての機能もある。障子を閉めれば、個々の部屋になってプライバシーを保つことができ、障子を開け放てば、すべての部屋が一つになり、大きな空間が生まれるといったように、構成がフレキシブルなのが日本家屋の特徴だが、この縁側もそんなフレキシブルな特徴が顕著に表れた場所といっていいだろう。

有一样东西,它曾经是日本房屋的标配,也最能勾起现代日本人的乡愁,那就是套廊。辞典对它的定义是“日式客厅外侧铺着长条木地板的地方”,也就是日式客厅(即铺着榻榻米的房间,可作为起居室或会客间)的外缘,具有走廊的功能。就像关闭拉门,日本的房屋就可以被分割成一个个独立的空间,保护隐私;而打开拉门,所有的房间连成一体,可以形成一个开阔的空间一样,这种结构的灵活性是日本房屋的特色,套廊也可以说是能突出展现这种灵活性的场所。

夜は、雨戸(家の一番外側に取り付ける木の戸)と座敷の戸で隔てられ、廊下としての機能を果たす縁側は、朝になって、雨戸を開け、座敷の戸を開け放つと、座敷の延長としての機能を果たし、外部と内部の橋渡しをする緩衝地帯となる。そして縁側に座れば、ぽかぽかとお日様を浴びたり、そよ風に吹かれたりすることができる。部屋に居ながら自然を身体で感じ取ることができる空間、それが縁側だ。

入夜,被木板套窗(安装在房屋最外侧的木制门板)和客厅门间隔开来的套廊可以作为走廊使用,而清晨,打开木板套窗,敞开客厅门,套廊便可以发挥客厅外缘的功能,成为连接室内与室外的缓冲地带。坐在套廊上,可以一边沐浴着暖暖的阳光,一边享受清风拂面。套廊,就是这样一个让人足不出户就能切身感受到自然气息的空间。

縁側に座布団を敷き、そこに座って、外を眺めながらお茶をすする。隣には猫が日だまりの中、丸くなって寝ている。通りがかりの近所の人が、縁側に座るあなたをみつけて、気軽に入って来て、雑談を交わす。そんなのどかな光景が繰り広げられる舞台となる。

在套廊上铺好坐垫,坐在上面一边悠然饮茶一边眺望室外。身旁的小猫在向阳处蜷起身子睡大觉。住在附近的人们路过时,看到坐在套廊上的主人,便会信步上前闲聊几句。此时的套廊,俨然成为人们度过休闲时光的场所。

現代を生きるわれわれの多くが住むマンションに、すでに縁側はない。だから、便利さと引き換えに大きなものを失ってしまったという欠落感が、常にわれわれにつきまとっている。だからこそ、日本人の心の中には縁側がとても大きな存在として、いまだに君臨しているのだろうと私は思う。

生活在现代的我们,大多居住在公寓里,早已不见套廊的踪迹。在生活日益便利的同时,我们也付出了代价——失去了珍贵的回忆,这种失落感常常萦绕在我们心间。所以,我觉得套廊在日本人心中占据了非常重要的位置,至今仍产生着深远的影响。(翻訳・銭海澎)

 

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