みそ(味噌)

2018-11-14 16:09:52

 =福井ゆり子 翻訳/編集=銭海澎

日本を代表する調味料といえば味噌と醤油だが、不思議なことに「味噌」を使った言葉はたくさんあるのに、「醤油」を使った言葉はあまりない。それはいったいどうしてなのだろうか?

说起能够代表日本的调料,当属味噌和酱油,但不可思议的是,与“味噌”相关的词汇有很多,与“酱油”相关的词汇却很少见。这到底是什么原因呢?

味噌は大豆を蒸して付き砕き、麹と塩を混ぜて発酵させたもので、麹の種類により、米味噌、麦味噌、豆味噌などの種類がある。中国の大豆塩蔵食品の「醤(しょう・ひしお)」が日本に伝わった後、醤になる前の熟成途中のものが味噌という食品に発展していったようだ。そのため、「未だ醤にならざるもの」という未醤(みしょう)という言葉が転じて「みそ」という言葉となったとか。味噌は平安時代(78412世紀末頃)には貴重品であったが、鎌倉時代(12世紀末頃~1333)に入ると、味噌をすりつぶして水に溶かして飲むようになり、室町時代(13361573)にはこうしてできた味噌汁が庶民にまで常食されるようになった。

味噌是将大豆蒸熟捣碎,拌上种曲和盐发酵而成的食物。根据添加种曲的不同,味噌可以分为米味噌、麦味噌和豆味噌等不同种类。据称,味噌起源于中国的大豆腌制品“大酱”,“大酱”被传入日本之后,其发酵成为“酱”之前的半成品,逐渐发展成为味噌。日语中用“未酱”一词来形容“尚未形成酱的东西”,所以“未酱”或许就是 “味噌”一词的前身。味噌在平安时代(784~12世纪末期)被视为珍贵食物,进入镰仓时代(12世纪末期~1333)后,人们开始将味噌捣碎后溶于水中(做成酱汤)食用,到了室町时代(1336~1573),酱汤已经成为平民百姓的日常饮食。

味噌は昔、どの家でも手作りしていた。それを示す言葉が「手前味噌」だ。これは、「それぞれ自由につくった味噌」という意味で、自分で作った味噌の味を自慢することから、自慢することを「手前味噌」というようになった注1。同様に、「これが味噌なんです」とは「これがポイントなんです」というような意味であり、自慢・得意とすることを指す言葉だ。

以前,每个家庭都会手工制作味噌,即“手前味噌”,意为“各自随意制作的味噌”,因为大家都会夸耀自己做的味噌好吃,后来就演变为“自吹自擂”之意注1。同样,“这可是味噌哦”意为“这可是重点哦”,用来表达炫耀、得意之情。

また、「味噌を付ける」という言葉があり、これは失敗して評判を落とすこと、面目を失うことを意味する。なぜ味噌かというと、かつては火傷(やけど)には味噌をつけるとよいとされており、失敗(=ケガ)には味噌ということから、失敗することを「味噌をつける」と表現するようになった。さらに、「味噌っかす」は、味噌を濾したときにできるカス、すなわち一人前とみなされない人のことで、「味噌も糞(くそ)も一緒注2」は、良いものも悪いものも区別しないで何もかも一緒にすることだ。

还有“擦味噌”这个词,表示因失败而丧失名声,失去颜面之意。为什么用味噌来表达此意呢?以前曾有说法认为烧伤时擦上味噌就会有效,所以从味噌可以应对失败(伤口)的含义而言,便用“擦味噌”来表示失败。此外,“味噌渣”指的是将味噌过滤之后残留的酱渣,比喻顶不了事的无用之人。“味噌和粪便混在一起注2”,比喻好坏不分、鱼龙混杂。

こうした味噌を使った多くの言葉こそが、味噌がいかに日本人の生活に深く関わってきたかを証拠づけるものであり、味噌に比べて製造方法が複雑なために家で作られることは稀だった醤油は、言語表現の豊かさにおいて、味噌に全く太刀打ち注3できないのだろう。

正是因为有了这么多与味噌相关的词汇,印证了味噌与日本人的生活息息相关。也因此,和味噌相比,制作方法复杂,很少能在家中自己制作的酱油,在语言表达的丰富性方面,完全不能和味噌相提并论注3

注释

注1:例えば「手前味噌の報告を聞かされても面白くもなんともない」は、自分のいい事ばかりを挙げ連ねた報告を聞かされても全く面白くないという意味

例如说“被迫听了堪称手前味噌的汇报,无聊透了”,就是形容汇报内容一味列举自己的业绩,听上去一点儿意思都没有。

注2:俗語では「くそみそに言う」のようにも使い、さんざんにけなすという意味。「みそくそ」という地域もある

在俗语中也用作「くそみそに言う(乱说一气),比喻把人贬得一文不值。而且,日本还有「みそくそ」这个地区。

注3:「太刀打ちできない」は「敵わない」の意味

“无法拿大刀对抗”即难以匹敌,竞争不过之意。

 

 

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