「立夏」と「小満」

2021-01-13 08:48:18

世界無形文化遺産リストに登録された二十四節気は東アジアの農業生産を主とする国々の共有の文化遺産である。節気や花に関する俳句を漢訳して、読者に漢語の詩形の多様性を理解していただくと同時に、「和して同ぜず」といった俳句と漢詩との趣の違いを味わっていただきたい。今月は、立夏」「小満」という二つの節気に合わせて、「スズラン」と「ボタンを描いた俳句を選び、王衆一総編集長が「漢俳」で、日本俳句協会会員の王岩氏が「漢詩」の七言二句で漢訳し、読者と共に鑑賞する。

王丹丹=イラスト

 

立夏 五月

{の}野に{ひら}開く{とびら}扉と{おも}思ふ{りっか}立夏かな

(石田子)

立夏思满怀

门扉似面原野开

微风送暑来

(王衆一 訳)

 

似向原野开门扉

今朝立夏暑犹微

(王岩 訳)

 

{たば}束でもち{すずらん}鈴蘭の{はな}花こぼしゆく

(松崎鉄之介)

铃兰一束花

路边采来手中拿

风吹散芳华

(王衆一 訳)

 

捆束铃兰手里拿

缤纷一路散飞花

(王岩 訳)

 

小满 五月二十一日

{しょうまん}小満やあやめにまじる{はっかそう}薄荷草

(那須弥生)

小满日高照

溪荪遍野风中摇

间杂薄荷草

(王衆一 訳)

 

万木枝繁小满到

溪荪夹杂薄荷草

(王岩 訳)

 

その{しん}蕊に{こうが}黄河のひびき{はくぼたん}白牡丹

(加藤耕子)

畅想白牡丹

仿佛小小花蕊间

黄河正轰然

(王衆一 訳)

 

似闻花芯黄河吼

 怒放素华白牡丹

(王岩 訳)

 

簡体字(中国)・常用漢字(日本) 対応表

立夏

怀―懐  ―門   ―開    ―猶 -蘭 ―華

小満

-間  ―雑  ―聞 

 

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