「復興公園」のねこ

2018-06-28 09:16:12

文=萩原晶子 写真=長舟真人

 

猫阿姨と 

  上海市内の公園には必ず「猫阿姨(ねこおばさん)」がいる。地元のニュースサイトやSNSを閲覧していると、「長年◯◯公園でねこの世話していた猫阿姨が転居」「これまで1,800匹に里親を見つけたある猫阿姨の功績」など、猫阿姨に関するさまざまな記事が日常的に掲載される。公園ねこと猫阿姨は、市民にとって一般的な存在なのだということがわかる。

園内は平日でも早朝から夕方まで趣味を楽しむ人たちで賑わう

 上海市街地で公園ねこが多い場所といえば「復興公園」だ。フランス人の園芸家が設計し、1909年に開園した上海最古の西洋式公園である。バラ園や噴水広場のほか、中国式の石の築山とハスが咲く池のエリア、マルクスとエンゲルスの像、子供向けの遊具コーナーなどがあり、平日でも雨の日でも多くの地元住民が集っている。

ベンチの上で休憩中

 この「復興公園」にも猫阿姨たちがいる。公園内は常に歌、ダンス、楽器など、趣味の仲間同士で集う定年退職者たちで賑わっているのだが、猫阿姨たちは、それらの趣味サークルの一つだと考えればよいと思う。活動内容は、早朝と夕方に公園内を歩きながら餌を設置すること。ねこが人目を気にせず食べやすいよう草むらの奥深くに餌場を作り、ゴミが出ないよう大きめの落ち葉を皿にする。SNSで餌の寄付を募ったり、里親探しの活動をしている人もいる。

写真を撮る人達にも動じない。「群猫会(ねこサークル)」などもあるそう

 猫阿姨たちにかわいがられているせいか、「復興公園」のねこはどれもとても人懐こい。昼寝や休憩の場所としてわざわざ人が座っているベンチを選ぶねこ、将棋を指す人とそれを見守る人たちの間に割って入っていくねこ、歩道の真ん中でのんびりと毛づくろいをするねこも。

生まれたばかりのねこも

 「捨てねこが多いのではないか」という側面も見え隠れする。「去勢すべき」「餌はやらないほうがいい」という意見もあるだろう。だが、街の人たちと共存する猫がいてもよいのではないだろうか。上海の公園猫たちを見ているとそう思う。

 歩道の真ん中でのんびり

 

復興公園

上海市雁蕩路105

 

 

 

 

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