ブックカフェのねこ

2018-08-29 16:13:13

写真=長舟真人  文=萩原晶子

  「カフェ併設書店」がブームだ。メインの書店にカフェが併設された形態の店で、有名建築家がデザインした店、カフェの他にギャラリーやイベントスペースを併設した店、川沿いの夜景を売りにした店など、斬新な店舗がここ数年次々に登場している。一方、カフェのほうがどちらかというとメインの「書店併設カフェ」は意外と昔からあった。今年惜しまれつつ閉店した「漢源書店」や、独立(インディーズ)書店の走りとして知られた「渡口書店」などである。増える「カフェ併設書店」に対し、オーナーの趣向が見える昔ながらの「書店併設カフェ」は減り続けている。

庭付きの老房子をそのまま使った店舗

 そんな「書店併設カフェ」の生き残り的な存在でもある「1984BOOKSTORE」は、オープン以来約10年、静かに過ごしたい本好きたちに親しまれてきた。店名の由来は、オーナーが好きだというジョージ・オーウェルの小説『1984年』。BGMなし、庭席以外ではおしゃべり禁止の無音空間が人気を得ている。あまりに静かで、常連客たちも読書や仕事に集中しているので、初めて訪れた人は店内にねこが3匹もいることに気づかないかもしれない。

古株の希特勒 

 捨てねこを拾ったり、預かったりすることもあるためねこの数は流動的とのことだが、現在店内で飼われているのは、白地にグレーのトラ柄の希特勒(8歳)、長毛種の李逵(7歳※療養中)、三毛猫の許加印(3歳)。名前がそれぞれ独裁者、豪傑、資産家から採られているのだが、彼らとは正反対の自由気ままで平和的なねこたちの態度に思わず笑ってしまう。

李逵。庭で囲碁をする人たちの横で

来たばかりでまだ慣れていないという許加印

 スタッフによると、特に人気があるのは古株の希特勒とのこと。体重9kgという大ねこで、おっとりとした温厚な性格が魅力だという。といっても、「1984BOOKSTORE」の常連客たちはねこに興味のない人ばかり。これも、ねこたちにとっては最高の環境なのかもしれない。呼ばれることも、ちょっかいを出されることもなく、彼らは今日も書架の前でのんびりとくつろいでいる。

体重18斤。名前の由来はこの口髭のような柄

 

1984BOOKSTORE

上海市湖南路11

 

お客さんに構われるのは面倒?

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