『嵐山の周恩来』

2019-06-26 09:38:29

王敏 著

 

 中日国交正常化に多大な貢献を果たした周恩来総理は、1917年から19年まで日本へ留学した。帰国前、京都にひと月ほど滞在し、嵐山を2度訪れた。著者は幾度も現地へ赴き、周氏の2度にわたる嵐山散策のコースを考察した。周氏は嵐山で、江戸時代初期に京都の治水事業に貢献した角倉了以の銅像や、その角倉了以ゆかりの千光寺にある、日本でも治水神として崇拝された中国古代の禹王に関する石碑などを見学した。異国で「禹王」に関する文化遺跡を見て、水利専門家を祖父に持つ周氏は深い感銘を受けたかもしれない。中日文化交流の起源は、その後に周氏が中日友好に尽力する揺るぎない基盤となった。(三和書籍 20194月 2200円+税)

 
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