皮国立  著

　中国の伝統医学と西洋の近代医学の出会い、衝突と相互理解は、中国の近代医学史において避けて通れないテーマであり、さらに中国文化と西洋文化の交流史にとって重要な出来事でもある。20世紀初頭、西洋の近代医学は細菌学の分野で大きな成果を得た。そのため、科学の理論では説明できない中医学は当時存続の危機に直面していた。同書は、近代中国における中医学と西洋医学の激しい衝突と論戦などに注目。西洋医学が着々と中医学に取って代わろうとした過程で、中医学がどのように細菌と伝染病の治療で自らの強みと技術を証明し、独自の伝染病治療法を構築したかを紹介する。また、どのように中医学の理論と典籍、科学との関係を取り扱うかも、この100年近く中国医学史の主要テーマである。