民間交流拡大の好機到来 互いに相手国経済の特徴を再認識

2018-06-19 15:03:53

 陳言=文 

 5月に入って暖かくなってきた。

 中日関係も5月にかなり大きな、多くの変化が起きた。中日韓3カ国首脳会議が東京で開催され、李克強総理が初めて日本を公式訪問した。これに先立って、習近平国家主席と安倍晋三首相が国際問題について初の電話会談を行った。これは中日関係の政治面に変化が起きたことを感じさせた。

 民間でも中日関係の改善が明らかに感じ取れ、民間交流と協力が中日関係をさらに深化させ、さらに拡大に向かわせることを予感させた。

 

国際環境に大きな変化出現

 中日関係に影響する国際環境に変化が現れた。

 朝鮮半島問題で、中国は非核化と対話の原則を強調してきた。日本は当然のことながら、朝鮮の核兵器保持に同意しないが、日本国民が朝鮮に拉致された問題をそれ以上に重視し、圧力を強化する方式で朝鮮を屈服させるように迫るべきだと主張している。朝鮮側は今年2月の平昌冬季オリンピックによって朝韓首脳会談のきっかけをつかみ、4月に金正恩朝鮮労働党委員長が38度線を越え、文在寅大統領との直接会談を実現した。現在、朝鮮は核放棄を宣言しており、朝鮮半島情勢に重大な変化が発生した。

 中日は朝鮮問題の処理に対して異なった見解を持っているが、半島非核化は両国が共に堅持している原則だ。半島情勢の安定は東アジア地域の安定を保証し、東アジアは、今後、朝鮮もある程度は参加することを前提にして、経済の継続的な発展に好機が生まれるだろう。

 国際環境のもう一つの重大な変化は、トランプ米大統領が既存の国際貿易の多角的なシステムを壊し、一対一の「取り引き」と交渉を通じて、国と国との経済問題を解決すると主張していることだ。国際貿易機関、多角的貿易のルールは彼にとってどうでもよく、「アメリカファースト」は米国に利益、あるいは米国だけが全部の利益を獲得することを意味しているとも思われる。同盟国である日本も、米国が鉄鋼、アルミ製品に課す高額関税を免れられない。

 中日は国際貿易体制の構想でも異なる立場を取り、中国は完全開放の「一帯一路」構想をアピールし、日本はここ数年、中国を含めない環太平洋経済連携協定(TPP)を全力で打ち出している。それぞれが主張する国際貿易体制は異なるが、どちらも多角的なメカニズムを強調しており、自国の国益のみを強調する一国方式ではない。

 東アジア情勢の変化に対する見方であれ、世界貿易体制を扱う手法であれ、いずれも客観的に、中日が現状を変更し、関係改善を実現する決心をするようにさせた。

 

相手の経済的特徴を再認識

 中国が1978年に改革開放を実施し始めて、踏み出した第一歩は外国資本を中国に誘致し、中国の労働力コストの低さと市場の大きさという特徴を発揮することだった。その政策実施から40年後、中国は次の一歩を踏み出し始め、中国資本は直接国外に出て中国市場にふさわしい製品と技術を求め、多角的な国際貿易体制下で、これらの製品と技術を極限まで発揮させようとしている。

 多くの中国投資家がすぐに思い浮かべる国は日本であり、彼らは日本へ行って製品と技術を探し始めた。中国の投資家の眼中にある市場は、中国自らを含む全世界だ。米国の投資家が強い関心を持っているのが、金融サービスと情報技術(IT)の領域だとすれば、中国の投資家は今なお実体経済を重視し、具体的な製品によって実利を得られることを望んでいる。

 日本の投資家も中国に対する見方を変えつつある。例えば、国際協力銀行(JBIC)が昨年末に行った調査から次のような新しい変化の特徴が明らかになった。中国は5年ぶりに、再度、日本企業が最も重視する投資相手国になった。過去数年、日本企業はインド、インドネシアなどの国を相対的に重視してきたが、中国市場と比べてみて、これらの国々は発展段階、市場規模、今後の持続可能性は言うまでもなく、今のところ中国と比べものにならないことをよく理解した。中国の国内総生産(GDP)の年間65%の成長分はインドネシア1国のGDPに匹敵し、これによって、日本企業は中国で一層安定した投資機会を探し求めるようになった。

 

絶えず深まる防災対策交流

 民間の方では、中日青少年交流、文化スポーツの往来の他、災害対策の面で日本と中国の交流が頻繁に行われ、さらに民間の相互理解を促進している。

 10年前の2008年5月12日、四川省汶川で大地震が発生した。3日後の15日、被災地に最初に入った外国救援隊は日本だった。日本救援隊のプロ意識、死者に対する礼儀は、中国の民衆に深い印象を残した。7年前の11年3月11日、東日本大震災の時には、中国側が日本の震災情況に強い関心を持ち、日本に救援隊を派遣した。当時、外国被災地についてあれほど詳しく報道したのを見たのは、メディア関係者である筆者の記憶において初めてだった。

 両国に共通する自然災害に対して、中日は08年以後、防災対策に関する交流を強化してきた。日本国際協力機構(JICA)は10年前に青川、北川で活動した日本の緊急救援医療チームを送り込んだだけでなく、その後の10年間も、中国側と協力して、「地震緊急救援」「耐震建築技術」「被災後のメンタルケア」「森林植生回復」および「防災教育」などのいくつかの領域で、技術提携プロジェクトを展開し、中国側の1万人を上回る災害対応プロの育成に協力した。

 5月に入って以降、中日関係は政治面だけでなく、企業と相手国市場の特徴の再認識、民間交流の面でも、変化が生じ、両国関係を好転させつつある。中日は安定し、不可逆的な協力関係を構築していくべきであり、東アジア経済の持続的な発展のために共同で貢献していかなければならない。(本稿は5月6日に執筆)

 

 

関連文章