風力・太陽光発電で提携を 再生可能エネルギー市場は広大

2022-08-12 16:18:01

陳言=文

今年の夏はかなり異常だ。北京は雨が多く、蒸し暑い一方、東京の梅雨は例年に比べてかなり短く、何年もなかった電力不足が日本各地で起きている。 

ウクライナ情勢の影響でエネルギー価格が高騰し、日本のように物価変動が少ない国でさえ、突然大幅に急騰し、悪性インフレの可能性も出始めている。エネルギー価格の抑制とエネルギーの安定供給は、今日の世界にとって非常に重要な課題になっている。 

この他、日本はかねて2030年に二酸化炭素排出量を13年比で46%削減し、50年にはカーボンニュートラルにする目標を掲げ、中国も30年にピークアウト、60年にカーボンニュートラルを達成するビジョンを描いている。この「ダブルカーボン目標」は両国にとって必ず達成しなければならない重大プロジェクトだ。 

エネルギー全体に占める風力エネルギーと太陽光エネルギーの割合の引き上げは「二つの目標」を達成する重要な手段であるだけでなく、最終的にエネルギーを安定供給する重要な方法である。中日両国の企業がこの面で提携すれば、巨大なビジネスチャンスが生まれる。 

  

浙江省舟山北部海域の岱山4号洋上風力発電所。54台の発電機が海風をクリーンエネルギーに変える(vcg) 

  

飛躍的に発展するチャンス 

「二つの目標」達成に当たり、風力・太陽光エネルギーによる発電を主とする再生可能エネルギーには、中国で飛躍的に発展するチャンスが待ち受けている。 

国家発展改革委員会、国家エネルギー局、財政部(日本の省に相当)などの9国家機関が6月1日、連名で「第14次五カ年計画(十四・五)再生可能エネルギー発展計画に関する通達」(以下、「計画」)を公布し、「十四・五」期間(2021〜25年)中に、国内の電力消費量の増加量における再生可能エネルギー発電量の増加量の割合を50%超とし、風力・太陽光発電量の倍増実現を明確に示した。 

「十三・五(16〜20年)」末の中国の風力発電量は4655億キロワット時、太陽光発電量は2611億キロワット時だった。つまり、「十四・五」末までに、風力・太陽光発電量の合計は約1兆4500億キロワット時になる。 

日本の資源エネルギー庁が公表したデータを見ると、16〜20年まで、日本の太陽光発電総量は3121億キロワット時で、中国の同期比を上回っている。しかし、風力発電量は368億キロワット時で中国に比べるとかなり少ない。日本周辺には広大な海域があり、風力発電の資源は豊富だが、十分に利用されていない。 

総量から見ると、25年に中国の再生可能エネルギーの消費量は標準炭換算で約10億㌧に達すると見込まれ、20年末に比べて47%増、その伸び率は11ポイント上昇だ。また発電量から言えば、25年末に、再生可能エネルギー発電量は約3億3000万キロワット時に達し、20年末に比べて50%増であり、21年末比では今後4年で33%引き上げなければならない。再生可能エネルギー利用の高効率化は中国にとって今後数年のエネルギー産業における重要な方針となるに違いない。 

資源エネルギー庁のデータを見ると、20年の年間太陽光発電量は791億キロワット時、風力発電は90億キロワット時であり、再生可能エネルギー発電に占める割合は19・8%だった。 

中国に比べると日本の風力発電の規模は非常に小さく、発電総量に占める割合も非常に低い。日本は「二つの目標」を達成するために、風力・太陽光発電の発電量を増やさなければならない。従って、今後、風力発電市場開拓の余地はますます拡大する。 


新エネルギーの消費を拡大 

中国は電力総量における風力・太陽光発電の割合増加で一連の成功経験がある。再生可能エネルギーの割合を飛躍的に高めたとき、供給サイドで再生可能エネルギーの設備容量を大幅に増やし、同時に消費面でも新エネルギーの消費と利用を促した。 

風力・太陽光発電プロジェクトの開発で、中国は集中式・分散式を併用する方針を堅持している。大規模なプロジェクトは主に新疆ウイグル自治区、黄河上流、河西回廊、黄河「几」字湾、河北省北部、松遼盆地、黄河下流新エネルギー基地、海上風力発電基地クラスター、西南水力・風力・太陽光一体化基地などが挙げられる。また分散式は主に工業パーク、経済開発区、石油・天然ガス鉱区、公共建築物、工場・住宅の屋根などが一般的だ。 

発電の他に、前述の「計画」は初めて非電化利用の目標を提起し、再生可能エネルギーの非電化の規模拡大を奨励している。25年末には、地熱エネルギー暖房、バイオマス熱供給、バイオマス燃料、太陽熱利用などの非電化の規模は標準炭換算で6000万㌧以上に達する。 

「計画」は、風力や太陽光などの再生可能エネルギーのコストが次第に低下するにつれ、「十四・五」期に再生可能エネルギーはかつての補助金支援による発展から公定価格・低価の発展に転換し、政策駆動型から市場駆動型に転換すると述べている。 

日本も地熱利用やバイオマス熱供給などの道を歩んでいるが、中日両国はエネルギー政策のかなり多くの分野で同工異曲である。 


日本には長年の技術的蓄積 

世界の主要な風力・太陽光発電所に目を向けると、数年前までは、太陽光発電設備は京セラやパナソニックなどの企業が製造していて、風力発電の関連設備では日本メーカーの規模は小さかったが、国内に一定の市場があった。しかし、近年では世界の風力・太陽光発電市場で日本企業の社名を見つけるのは難しいのが現状だ。 

日本企業が生産した設備は、国際市場において価格面で競争優位性がほとんどない。それに比べ、中国の新エネルギーの市場規模は大きく、風力・太陽光発電の設備メーカーは市場が急速に発展している機会を利用して、急速かつ大きな成長を遂げ、国内市場の足元を固め、国外市場開拓もある程度できるようになってきた。 

再生可能エネルギーの問題点はエネルギーの備蓄であり、日本はその面でかなり長期的な研究によって、大量の技術を蓄積している。また、送電網のスマート化でも豊富な技術的優位性を持っている。 

中日企業がそれぞれ得意な分野で力を発揮すれば、中日両国市場にとどまらず、東南アジアや欧州などでもブランド力、設備製造、研究開発の面で提携できる余地が広がっている。こうした提携は中日企業に有利であり、また両国が「ダブルカーボン目標」を達成する上でも役に立ち、将来性に満ちている。 

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