切手収集で深まる友情の絆

2018-09-28 16:43:53

段非平=文

 中日の国交正常化以来、両国国民はさまざまな形で交流を促進し、友好を深めてきた。歴史を記録する「小さなファイル」である切手は、中日友好の推進でも大きな役割を果たしている。湖北省の元東風自動車エンジニアリング研究院自動車テスト課の高級エンジニア盧洪武さん(68)は、切手を通じて中日交流を促進する多くの人たちの一人だ。盧さんは、三十数年にわたって切手を仲立ちとして中日友好に貢献してきた。

 

日本の切手と縁を結ぶ

 1982年、友人の家に遊びに行った盧さんは、たまたま『日本切手図鑑(1981年版)』を目にした。『図鑑』で見る凝ったデザインの日本の切手に、盧さんは一目でとりことなり、どうしても欲しくなった。これを見た友人は、その『図鑑』を彼に贈り、これをきっかけに盧さんの日本切手の収集が始まった。「私が日本の切手と縁を結んだのは、ほんの『偶然』ですが、思いがけなくも、この道を36年間も歩み続けることになりました」と、盧さんは感慨深く語った。

盧洪武さんが集めた中日関係をテーマとする日本切手 

 1980年代、中国で日本の切手を収集する方法やルートは限られていた。しかし、切手への熱い思いとたゆまぬ努力によって、盧さんが集めた切手は大変な数となった。1990年当時、日本でそれまでに発行された総計約2500枚の普通切手と特殊切手のうち、盧さんは2400枚以上を収集した。

 91年の初め、盧さんが働く東風自動車エンジニアリング研究院では、中日国交正常化20周年(92年)の記念の年に、祝賀イベントを企画し、盧さんが「日本切手展覧会」の準備を買って出た。2年にわたる念入りな準備を経て、「日本切手展覧会」は92年9月29日から10月3日まで湖北省十堰市で開催された。

1992年に湖北省十堰市で開かれた「日本切手展覧会」は、多くの中国人切手収集マニアに大好評だった。写真は、参観者が購入した展覧会の記念カバーにサインする盧洪武さん(左から2人目)(写真提供盧洪武) 

 同展では、この100年間に日本で発行された普通切手と特殊切手2000種類以上と、『初日カバー』や記念スタンプ1000種余りが展示された。これほど多くの日本の切手が紹介される機会は当時めったになかったため、切手収集マニアなど多くの人が訪れ、大好評だった。「皆さんの高い評価が私の大きな原動力です。切手は単なるコレクションではなく、“つなぎ役”として中日両国民の相互理解を深め、両国民の友情を増進することができると私は気付きました」と盧さんは話した。

 

切手を通じて友好促進

 日本の切手の収集を通じて盧さんは多くの日本の切手コレクターたちと知り合い、深い友情を結んだ。盧さんが中国で日本切手の展覧会を開くことを知ると、多くの日本の友人がすぐに自分のコレクションを提供した。盧さんは感激し、「中国切手研究会の古荘昭夫元会長や、切手収集家の酒井征四郎さん、喜多敏夫さんには大いに助けていただきました。皆さんも大切にしてきた切手が中日友好に役立つことを望んでいました」と感謝の気持ちを込めて語った。

 より多くの中国人に、日本の切手と、その背景にある物語を紹介するため、盧洪武さんは2010年にはブログを開設。写真や文章でその切手の魅力を伝えている。これまでに約2500編の文章をアップ、日本切手のデザインのポイントや発行の背景、その意味などを紹介している。「切手は『話』ができます。私たちは切手から多くの物語と、そこに込められた願いを知ることができます。例えば、日本では多くの記念特殊切手が発行されていますが、30周年記念の切手は非常に少ない。しかし、このわずかな切手の中に、中日国交正常化30周年記念と中日平和友好条約締結30周年記念のセットが二つも入っています。これは日本が日中関係を重視していることの証しだと思います。さらに注目すべきは、中国人芸術家の王伝峰さんがこの2セットの切手のデザインに加わっていることです。私は、こうした中日友好を促進する話を、もっと多くの人に伝えていきたいと思います」

 定年退職後、盧洪武さんは一段と日本切手の収集と普及に取り組んでいる。今後の計画について彼はこう話した。「いま最大の願いは、『日本切手展覧会』をもう一度開くことです。前回の成功は、中日両国の友人の助けがあったからこそでした。再び展覧会を開催することで、こうした人たちに感謝の気持ちを表したいのです。私は間もなく古希(70歳)を迎えますが、中日両国の相互理解と友情のために、命の続く限り中日の切手文化の普及に努めていきたいと思います」

 

関連文章