中国人の目に映る日本

2019-03-22 09:26:49
 「私たちは中日両国の民間交流を見守ってきただけでなく、中日の友好関係の発展をも推し進めてきました」と司会者は語り、写真動画コンテストの授賞式が始まった。募集が始まってからこれまでのいきさつを振り返る映像が流れ、日本風情に満ちた写真とエピソード溢れる動画が相次いで紹介されると、授賞式はクライマックスに達した。

 「2018環遊日本-訪日中国人観光写真動画コンテスト」の授賞式が228日、北京市にある人民日報社新媒体大楼のスタジオで行われた。在中国日本大使館の横井裕大使、中国日本友好協会の朱丹副秘書長、日本政府観光局北京事務所の服部真樹所長、人民網の唐維紅副総裁らが挨拶を行い、国内外各界の友好人士やマスコミ関係者100人余りがこれに出席した。

2018環遊日本-訪日中国人観光写真動画コンテスト」の授賞式

 同コンテストは中国国内に住む中国人を対象に、「色彩豊かな四季、『深度旅』を目指せ!」をテーマとし、写真と動画の二つの部門を設けたもので、その他、より多くの参加者に旅の見聞と感想を写真や動画の形で表現してもらうため、「スマホ優秀作品賞」も設けられた。(:近年の中国人の旅行スタイルを指す流行語。従来のような画一的に観光地を巡る旅ではなく、事前に情報を収集し、個人の興味や関心のある場所を訪れる個性重視の旅の楽しみ方。)

 面白いことに、同コンテストの計14点の作品の中で、特等賞に輝いた二つの作品は同じく「祭り」を表現したものだった。江戸三大祭りの1つである深川八幡祭りをテーマとした『楽しみに“浸る”』と、青森市のねぶた祭をテーマとした『睡魔降臨』だ。

柏燕秋さんが2017813日、東京の富岡八幡宮で撮影したもの。江戸三大祭りの一つに数えられる深川八幡祭りは三年一度に行われる。道端の人々は邪気払いの水をお神輿の担ぎ手に浴びせ、真夏に涼しさをもたらす

 『睡魔降臨』(撮影者:李瀚涛さん)

 詳しくはこちらへhttp://visitjapan-photocontest.people.cn/2018/n1/2019/0117/c421751-30574763.html

横井裕日本大使

 横井裕中国日本大使はあいさつの中で、「本コンテストに応募された一つ一つの作品は、いずれも実際に日本を訪れた中国の人々によって、レンズを通して切り取られた今の日本の姿です。近年、中国の皆様の日本に対する理解、そして日本との触れ合いがかつてないほど広く、深くなっていると強く感じています」と述べた。 

 さらに、昨年は日中関係にとって大変重要な年となり、両国関係は完全に正常な軌道に戻り、今まさに良い方向に向かいつつあるとし、「これらの作品がさらに多くの中国の皆様の目に触れ、それが新たな交流を導き、相互信頼と相互理解を深める呼び水となってほしい」と期待を語った。

中国日本友好協会の朱丹副秘書長

 中国日本友好協会の朱丹副秘書長も、「各自の文化を交流し合い、お互いの長所を学ぶことが、今、まさに中日両国の相互理解と友好関係の推進力となっています」と、前向きに中日関係を捉えている。2018年、日本へ旅行した中国人観光客は過去最多となり、延べ838万人を超えた。朱丹副秘書長は、「本コンテストは引き続き、インターネットの強大な発信力により、青少年をはじめとする両国国民に好まれる形式で、相手国に対する興味と好感を引き出していただきたい」と、両国国民の友好関係により大きな役割を果たすことへの期待を語った。

李瀚涛さん(左)と柏燕秋さん

 続いて動画部門と写真部門で特等賞に輝いた李瀚涛さんと柏燕秋さんが、それぞれ撮影のエピソードや旅行の感想を語った。『睡魔降臨』の撮影者である李瀚涛さんは、「祭りの灯籠と様々な形の妖怪に惹きつけられたのがきっかけでした」と振り返る。より元気よく過ごしていくために睡魔を退治するのが、青森ねぶた祭りの由来とされる。そのため、好奇心のほかに、「ついでに自分に取り憑いた睡魔も払ってもらいたかったから」とユーモラスに語った。『楽しみに“浸る”』の作者・柏燕秋さんは日本の民俗文化に対し、「日本を旅行すると、四季折々の美しい景色のほか、にぎやかな『祭り』を体験することもできます。祭りの独特なムードは自分で体験しないとなかなか分かりません」と語った。

服部真樹所長(左)と唐維紅副総裁

 まさに、「一枚の写真は千字の言葉にも勝ります。写真は言葉や文化の境界を超えることができ、両国の友情を結ぶ絆となります」という、唐維紅人民網副総裁の言葉の通りだ。また、日本政府観光局北京事務所の服部真樹所長は、「昨年は日中関係が正常な軌道に戻り、現在日本に関心を抱く中国人の裾野が広がっています。そうした意味でこのコンテストが中国人訪日観光の促進に果たす役割はますます大きくなると考えています」と語った。

 本コンテストには計6000点近くの動画、写真作品の応募があり、バラエティに富んだ撮影場所やテーマ、繊細な視点などの特徴がみられた。最後に、皆さんの自信作(写真部門の一部の受賞作品)を以下に紹介したいと思う。

一等賞「冷たい雪に包まれた暖かな小屋」作者:馮庭蕊さん

二等賞「半々の夕日と青空」作者:李志勇さん

 

三等賞「飛翔」作者:鄔潤萍さん

三等賞「風雪も阻めぬ帰宅への道」作者:杜輝煌さん

深度游賞「爽やかな秋の日本旅行」作者:鄧暁秋さん

スマホ写真賞「冬暖」作者:徐林さん

人気賞「信号無視する鹿たち」作者:邢奕さん

動画部門の受賞作品(詳しくはこちらへ:http://visitjapan-photocontest.people.cn/2018/n1/2019/0214/c421742-30674396.html

  

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