相互理解と地方活性化を 新潟で中日観光フォーラム

2019-05-08 19:52:34

続昕宇=文・写真

中日関係の改善に伴い、ここ数年は人的往来にも復調の兆しが見られる。2013年から17年にかけ、両国間の相互訪問者数は延べ471万人から1061万人に、年平均増加率は22・5%と激増。日本政府観光局のデータでは、18年の中国大陸からの訪日客数は延べ838万人、前年比13・9%増加で過去最高を記録した。一方、中国文化観光部(省)発表の旅行市場基本状況では、18年、主な観光旅行先のうちで日本に入国した旅行者が第4位となっている。

 そこで、中日地方間交流・協力をより促進し、双方の旅行観光業協力の新たなプラットフォームを構築するため、「中日観光トップフォーラムin新潟」が3月23日、新潟市で行われた。主催は新潟県と中国駐新潟総領事館、中国旅行社協会。両国の旅行関係各省庁や主な旅行社から約200人が参加し、講演や交流で相互理解を深めた。中国からは5省の関係者が来日して観光資源を紹介。陸のシルクロードの起点である陝西省、海上シルクロードの起点である福建省、そして遼寧、吉林、黒龍江の東北3省は北東アジア開放における重要な門戸と、それぞれが「一帯一路」の重要な拠点に位置しているのが印象的だった。

 

「旅行業は国の経済発展のバロメーター」ともいわれる。中日の観光業のトップが集結した今回のフォーラムが盛会で終わったことは、両国経済が前向きな方向性を示しているとも受け取れる

  来賓あいさつで駐日中国大使館の郭燕公使は、「民間友好と地方交流は、中日関係の大きな特色であり良き伝統でもある。新潟県は長年、対中交流を積極的に展開し、トキの保護事業を中国と共に行い、友好都市交流などの実務協力においても素晴らしい成果を上げている。田中角栄元首相の遺志を継ぎ、新潟県には自身の優位性を大いに発揮し、対中友好交流を引き続き展開していただき、中日友好事業への変わらぬ支持をお願いしたい」と述べた。

 

 中国駐新潟総領事館の孫大剛総領事は、「目下、中日両国はお互いに重要な観光市場だが、旅行者数の不均衡は依然かなり顕著だ」という現実に触れ、「中国5省の代表が日本の人々の中国理解への新たな窓口となり、両国の実務協力のために新たなアイデアを提供することを望む」と期待を託した。花角英世新潟県知事は、「本フォーラムは、日中両国の相互交流と友好関係を強化するために開催された。参加者が友情を深め、両国を訪れる観光客増加の方策について知見を共有してほしい」と開催の意義を語った。

 

 増え続ける中国からの訪日観光客がしばしば話題になる一方、日本人の訪中観光客の伸び悩みが問題になって久しいが、これは裏を返せば、伸びしろが充分にあるということだ。両国が旅行関係でより多彩な協力を展開することで、インバウンド・アウトバウンドのバランスが取れた発展も期待できる。相手国を自らの目で見ることは相互理解の深化につながる。その糸口ともなる旅行は、両国の友好関係継続を考えれば、決しておろそかにできない分野なのだ。

 

 

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