春節祭で中国文化学び交流

2020-01-14 14:39:42

 

 

14回名古屋春節祭の開幕式には、愛知県の大村秀章知事、孔鉉佑駐日中国大使、劉暁軍中国駐名古屋総領事ら来賓が出席した

昨年1125日、王毅国務委員兼外交部長は東京で茂木敏充外相と第1回中日ハイレベル人的文化交流対話を共同で主宰した。会合で得られたコンセンサスの一つは、2020年を「中日文化スポーツ交流推進年」にすると決めたことだ。

今年1月1113日、中国の春節(旧正月)に先立ち、第14回「名古屋中国春節祭」が名古屋市の久屋広場で予定通り挙行され、今年の中日文化交流活動の序幕を開いた。

華人の企画が市民に定着

11日朝、鄧雪宏さんはこれまでと同じように真っ赤なダウンジャケットを身に着け、早くから会場の受付に来て来場者や記者を誘導した。開幕式が1時間後に迫り、会場はすでに大混雑していた。

鄧さんは第1回春節祭から実行委員会の仕事に関わってきた。もう「古参」ともいえる彼女の心にも、わずかな緊張があった。「今年の来場者数は20万人を突破するかもしれない」

中国人にとって、1年間懸命に仕事に励んだ後、家族そろって春節を迎えることは、どこにいようとも最大の願いだ。しかし、旧暦の新年は一般的に日本の出勤日と重なるため、在日華僑華人が中国に戻って春節を過ごす機会は少なかった。07年2月17日(この年の旧暦の大みそか)、日本の中部地方の華僑華人は自腹を切って資金を捻出し、中国駐名古屋総領事館と共に1回目となる、中国の伝統的な正月ムード満載の「春節祭」を大々的に開催した。

 

名古屋春節祭では華人華僑が、中国東北部の伝統舞踊秧歌(ヤンゴー)を踊り、会場は一気に中国色に染まった 

精彩を放つ中国の伝統的な音楽と舞踊、湯気を上げる紹興酒、皮が薄くて具の詰まった水ギョーザ、クミンをふんだんに使ったヒツジ肉の串焼き……。来場者は中国の民俗文化的特色を備えた歌舞を鑑賞できただけでなく、本場同様の中国グルメを味わうこともできた。

この14年間で来場者は地元の華僑華人から一般の日本人にまで拡大し、来場者数も当初の5万人から21万人にまで増加した。春節祭に出店した店舗は28から81に増えた。

「当初の考え方はとても単純で、帰国して春節を過ごせない中部地方の華人同胞に共通の場所で楽しく過ごしてもらおうと思っていただけです。しかし、名古屋市民の情熱は私たちの予想を超えていました」と鄧さんは語る。

12年9月、「島購入」問題が起きたため、中日関係は国交正常化以来最悪のレベルにまで落ち込んだ。当時、両国の各分野の交流はほぼ停滞状態に陥った。しかし、実行委員会と各方面の努力の下、第7回春節祭は13年1月1214日に例年通り開催された。来場者数は前年(延べ11万人)よりわずかな下落を見せたが、延べ9万7000人の高い水準を維持した。中国出張から戻ってきたばかりの大村秀章愛知県知事は春節祭最終日、雨の中を訪れ、出展者全員と握手し、春節祭の円滑な開催と中日友好のために関係者が費やした努力に感謝した。

今では中国企業のほか、トヨタ自動車やデンソーなどの大企業が協賛企業として春節祭の運営を資金面から積極的に支えている。江蘇省、河南省などの友好省市が毎年派遣する文化芸術団は、春節祭の来場者に素晴らしいパフォーマンスを披露している。

 

 特設会場では中国民族楽器の演奏や伝統劇など、来場者を飽きさせないさまざまな催しが行われた 

日本人や日本に住む華人華僑はもちろん、訪日観光客までが会場に足を運び、中国グルメや体験コーナーを満喫。数々のイベントに子どもたちも大喜びだ

名古屋春節祭が日本の中部地方に根付いたのは、中国に対する友好的な民意の基礎があったほか、名古屋と中国の間に密接な経済貿易関係があり、また中日の「官」が手を取り合って協力し支援したからだと鄧さんは考える。

「歴代の中国駐名古屋総領事と大村知事は毎年会場に駆け付けてくださいます。大村知事は公務で忙しい時、午前中の開幕式に慌ただしく顔を出した後、物足りなかったかのように午後や別の日にわざわざ会場にお忍びで見学にいらっしゃいます」と鄧さんは思い出しながら語った。

 17年には全国組織も設立

名古屋市在住の山本佳代さん(30)は春節祭にほぼ毎年参加している。会場に漂う濃厚な中国の雰囲気は、いつも彼女に中国留学時代の経験を思い出させる。「留学時、私が一番好きだったのは祝日や休日に友達と飲食街を見て回ることでした。ヒツジ肉の串焼きができ上がるのを待ちながらおしゃべりして笑い、留学生活の面白い話を分かち合いました。今では毎年、春節祭のグルメ屋台を見て回っています。自分の青春時代の記憶と出会っているかのようです」

佳代さんと夫の勝巳さん(34)は今年、1歳の娘を連れて会場を訪れた。

勝巳さんも佳代さんも、愛知大学現代中国学部の卒業生だ。勝巳さんは『三国志』や『水滸伝』が好きで、流ちょうな中国語を操る。これまでに北京や上海、台湾などを訪れており、中国の伝統文化や人文習慣に愛着を持っている。昨年、娘が生まれた後、彼は台湾での教育事業支援の仕事を終えて名古屋に戻った。娘には「中華に咲く清らかなハスの花」という意味を込め、華蓮と名付けた。

 

 

本格的な中国グルメを味わうだけではなく、毎年の春節祭で勝巳さんは小さな期待を抱いている。「ある年、長らく会っていなかった中国人の友人に会場で偶然再会して、本当に楽しかったです! 彼はその時、ちょうど家族と名古屋旅行に来ていました。それ以来、私はいつも同じような驚きと喜びを待ち望んでいます」

この数年間は中国人の間で訪日ブームが続いており、長期休暇を利用して日本で春節を迎える中国人観光客も明らかに増加した。会場を歩くと、中国人観光客が屋台の店主と和やかに談笑し、互いにあいさつする姿が至る所で見られる。地元の人々と初対面で意気投合し、互いに記念写真を撮る中国人もいる。

春節という言葉が日本で知れ渡ったのはこの5、6年のことだと勝巳さんは考えている。中国人観光客が春節休暇を利用して日本を旅行するようになったため、もともと中国についてあまり知らなかった一般の日本人も中国の旧正月に注目し、春節祭イベントに積極的に参加するようになった。

 

 

「名古屋市民が春節祭を重視して参加していることは、両国民の相互理解にとても重要な意義を持っています。この数年、日本のメディアはいつも政治経済分野で中国のマイナス面ばかり報道しています。そのため、日本の一般市民は普通の中国人の日常生活を理解する機会があまりありません。春節祭は日本人が中国の大衆生活と伝統文化を理解する上で、とても貴重なきっかけを与えてくれています」と勝巳さんは評価する。

名古屋のほか、長崎や新潟、大阪、大分などでもここ数年、春節祭が行われ、地元民に歓迎されている。各地の春節祭の企画と協調をいっそう強化するため、17年1月に「日本華僑華人中国春節祭連合会」が名古屋で正式に成立した。ますます多くの日本人が春節祭に参加するのに伴い、春節は中日両国の文化交流と相互理解を増進する新たな懸け橋になるかもしれない。(呉文欽=文 佐渡多真子=写真

 

人民中国インターネット版 2020年1月14日

 

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