新時代の要求に合った中日関係を

2020-01-14 14:48:45

中国国際問題研究基金会高級研究員 王泰平=文

中日関係は2018年に正常な軌道に戻った基礎の上で、積極的に良い方向に向かう発展のすう勢を2019年も引き続き保った。各分野の交流と協力は絶えず拡大し深化し、全面的改善の新たな状況を示している。

この1年、日本の安倍晋三首相は中日関係を積極的に向上させるシグナルを異なる方式で繰り返し発した。中日官民の双方向的なコミュニケーションが頻繁になり、往来が日増しに密接になった。また、習近平国家主席と安倍首相の2回の会談は2019年の中日関係で最も重要な出来事だった。

20カ国地域首脳会議(G20)大阪サミットの前夜に当たる昨年627日、習主席は安倍首相と会談し、2国間関係、および世界や地域の問題について深く意見交換し、新時代の要求に合った中日関係の構築、習主席の日本公式訪問などについて、歴史的意義を持つ10項目のコンセンサスに達した。

同年1223日、習主席は北京で安倍首相と会見し、10項目のコンセンサスの基礎を踏まえ、新時代の中日関係を構築する共同戦略の指針、ならびに必ず堅く守らなければならない根本的な原則と実務協力の方向性について一歩進んで指摘した。

習主席と安倍首相は大阪と北京で会談し、幅広いコンセンサスに達し、現在改善されつつある中日関係に新たな原動力を注入し、両国関係の未来に方向を指し示した。これは中日関係が対立と摩擦の頻発した再位置付けの時期をすでに抜け出し、段階的変化を起こして新たな均衡を確立し、過去20年で最も良好な状態に到達しており、相対的に安定して発展する新時代へのまい進が期待できることを示している。

習主席は今年春の日本公式訪問に関する安倍首相の招請を原則的に受け入れた。これは新時代の要求に合った中日関係がまさに現れようとしていることを示している。実現すれば、中国国家元首の12年ぶりの正式な日本訪問となり、必ず両国関係発展の重要な一里塚となるだろう。

日本の対中政策に歴史的変化

中日両国関係の発展段階から見ると、1990年代中期以降、パワーバランスの変化により、従来の均衡が破られ、新しい均衡がまだ確立されておらず、互いがなおも戦略的に相手の位置付けを模索し、両国関係に不安定性や不確実性、多くの変数をもたらしている。

中国の台頭に直面し、日本は20年にわたって厳しい適応過程を経験してきた。中国の発展を封じ込めようとする政策も袋小路に入り込み、日本は現実を直視し、比較的冷静かつ客観的、理性的に相手を取り扱わざるを得なくなった。

この数年、日本は常に中国経済の「衰退論」を指摘し、「中国崩壊論」が勢いを振るった。事実は紛れもなく反対で、中国の政治は安定し、改革は全面的に推進され、偉大な民族復興の歩みは加速し、日本との差は絶えず広がっている。現在の中日両国の発展スピードに基づいて見積もると、2025年ごろに中国の経済規模は日本の5倍前後になると日本は予想している。

また、現在の世界で多角的貿易体制を擁護するだけでなく、日本に経済成長のチャンスを与えられる唯一の大国が中国だということを日本は認識している。中国市場の受け入れ能力は巨大で、中日はハイテク、金融、インフラ建設、デジタル経済、エネルギー、環境保護など多くの分野で相互補完性が高く、両国の民間には差し迫った協力の需要と必要性がある。中国との経済貿易協力の強化は日本経済の衰退を避ける最も優れた選択肢だ。

「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」構想について、日本はもともと実行できないと考えていた。幅広い歓迎と期待を受け、賛同国と参加国がますます増え、プロジェクト建設も拡大し、初期の成果がもう示されるとは予想していなかった。まして「一帯一路」が東南アジアや南アジア、ユーラシア大陸からアフリカ、中南米まで、日本企業の力の及んでいない多くの大市場を切り開いたことについてはなおさらだ。日本側の予想では、2016年から2030年までに「一帯一路」沿線のインフラ建設の需要は約26兆ドルに達する。日本の経済界は全面的にこの将来性を見込んでおり、もし日本が積極的に参加しなければ取り残される危険があり、この同じ船に乗ることこそが日本の利益を確実に保証する最も優れた選択だと考えている。日本の経済界の積極的な態度により、安倍政権はやむなく現実に向き合わざるを得なくなり、身近で巨大な中国と一貫して対立していくことの得失と利害を考慮し、中国との協力強化は日本の長期的な利益要求に合致すると悟り、それによって対中政策を調整した。

特にこの数年にわたり、過去100年間にもなかった世界的で巨大な大変動に直面し、日本の認識には明確な変化が起きた。第一に、米国は信頼できず、さらに頼りにできず、同じ木で首をくくってはならないのだと認識した。第二に、中国の台頭は阻止できず、中日の差がますます大きくなるすう勢は巻き返せないのだと認識した。これにより、常に実力を尊び、強者に取り入り仲間になってきた日本は、中国の強大さを正視して適切に評価せざるを得なくなった。

また、日米関係の変化も日本が対中政策を調整した要因の一つだ。

特にトランプ大統領の就任後、米国は大々的に一国主義を実行し、既存の秩序に激しい衝撃を与え、世界の枠組みの変化を速めた。日米の同盟関係の不一致と矛盾を深刻化させ、日本の対外政策の調整も促したため、安倍内閣は中国との関係強化を求めざるを得なくなった。トランプ大統領は日本を中国側に押しやったともいえる。

このため、2017年以降、安倍政権は外交戦略を調整し、多極化を求めるようになった。この外交戦略調整の重要措置として、中日関係改善への力強さを強め、中国の位置付けを高め、中国に対して融和的で協調的な政策をとり、戦略的競争から競争協力へと調整した。それによって国際的な枠組みの大きな変化の中で戦略的均衡を維持し、中米のはざまで国家利益の最大化を求めた。

日本の対中政策の二面性は長期にわたって存在していくだろう。国際的な対立はいかなる時にも存在し、たとえ同盟国の関係であってもさまざまな対立は存在し、時には非常に激しくなる。まして中日間においてはなおさらだ。このため、中日関係が新時代に入ることに私たちが安心する時にも、中日関係に存在する構造的な対立により、依然として私たちは冷静な思考を求められる。しかし、日本の対中政策の方向付けに確実に積極的な変化が現れていることに目を向けるべきだ。安倍首相は重ねて中国に友好的な態度を示し、「新時代の日中関係」構築を呼び掛けており、これは日本の対中外交がまた時代の変化に順応した歴史的な大調整を行ったと見なすべきだ。

人民中国インターネット版 2020114

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