ある夏の夜、旅先の内蒙古の草原で満天の星を見上げ、ふとカントの「この世に人心を大いに揺り動かすものは、わが上なる星の輝きとわが内なる道徳律」という言葉を思い出した。「道徳律」とはわれわれの行為を規範化する法律である。中国では法治化が進み、人々の遵法意識も高まっている。このコラムでは、きらめく満天の「法」の中から、時代を映す「道徳律」を読み解いていきたい。