注目される平昌五輪外交

2020-02-21 12:25:15

  2月9日の平昌冬季五輪開幕式で朝鮮と韓国両国の代表団が「朝鮮半島旗(統一旗)」を掲げて入場した。南北双方は2017年から一触即発の緊張状態だったが、ここにきて手を携えて談笑するようまでになり、たった1カ月余りの関係改善に世界が驚いた。
  平昌冬季五輪をきっかけに両国には貴重な和解の雰囲気が生まれたが、このことは朝鮮半島ひいては東北アジアの情勢にどのような影響を与えるのか。今回、中国社会科学研究院近代史研究所研究員の王鍵氏と外交学院国際関係研究所教授の周永生氏が人民中国のインタビューに応えてくれた。

——今回、朝鮮側は冬季五輪で応援団、芸術団、高官代表団を韓国入りさせました。このような積極的な友好的行動は朝鮮・韓国関係にどのような影響を与えるでしょうか?
王鍵氏(以下、「王」):
朝鮮と韓国が共に朝鮮半島のスポーツ代表団を組織して平昌冬季五輪に参加したことは非常に喜ばしいことです。このことは朝鮮半島の情勢に平和の雰囲気をもたらし、また緊迫した両国関係に改善の可能性ももたらします。
  朝鮮は国際社会の制裁を回避するために、平昌冬季五輪をきっかけに「応援団外交」「スポーツ外交」「音楽外交」を含む「ほほ笑み外交」を世界に向けて展開します。朝鮮は海外に自国の素晴らしい一面を見せようとします。そして金正恩最高指導者の実妹・金与正氏の訪韓はまさに「ほほ笑み外交」を最高潮に押し上げるものです。
  しかし冷静に観察してみますと、朝鮮・韓国関係は冬季五輪に1回共同参加しただけで「雪解け」するようなものではなく、依然として厄介で構造的な難題が多く存在しています。米国の朝鮮戦略はなお変数に満ちており、2018年の朝鮮半島情勢の先行きは不透明のままです。
周永生氏(以下、「周」):朝鮮が自主的に最高指導者の家族を訪韓させて平昌冬季五輪に参加したことは積極的な友好表現です。朝鮮はこのような交流を基礎にして、会談で協議することによって韓国との関係を改善させ、米国の武力行使を回避しようと考えています。また、朝鮮も冬季五輪で自国のイメージを世界にPRし、国際社会の好感度を高めるのが狙いです。
  朝鮮の考えは交流を強化して、戦争を回避する文在寅政権の考えと一致を図ることです。南北双方の共同の努力の下で関係改善の小さな流れをつくり、ウインウインを実現させたことは間違いありません。これは朝鮮・韓国関係の未来の積極的な方向変換に対してもしっかりした基礎を築いています。

――今回の冬季五輪の期間中、米国のペンス副大統領と安倍晋三首相が訪韓し、朝鮮に対する圧力を維持するように韓国側に求めましたが、このことは朝鮮半島の情勢にどんな影響をもたらすでしょうか?

王:冬季五輪の期間中、米国と朝鮮はいかなる接触もありませんでした。米国は韓国と朝鮮の「スポーツ交流」を喜んで受け止めておらず、情勢によって口を閉ざして黙認することを余儀なくされただけです。しかし、朝鮮半島の非核化を完全に実現するには、米国と朝鮮の対話は極めて重要です。文在寅大統領が指摘したように、韓国と朝鮮の関係を発展させるには、朝鮮と米国の対話を早期実現しなければなりません。
  日本は対朝鮮問題において、終始米国と戦略的同調性を維持していますが、日本は6カ国協議の参加国で、朝鮮半島に隣接している国として、日米軍事同盟の武力による威喝より、アジアの国家としての思考で問題解決に取り組み、東アジアの平和を最高の基準とすべきだと私は考えます。
周:ペンス副大統領は韓国に着いてから、哨戒艦「天安」号沈没事件記念碑を参観し、韓国に亡命した朝鮮人と会見しましたが、それは韓国に対して朝鮮に利用されないように取った警告であるとともに、冬季五輪という国際的な場面で朝鮮の人権侵害を非難し、国際社会のイメージに泥を塗るためです。
  日本の立場は米国と同じで、強い圧力を維持し経済制裁などの手段を使って朝鮮を屈服させ、核兵器を放棄させようとしています。しかし、文在寅政権は安倍首相の政策的提言を完全に受け入れることはないでしょう。それは文大統領がは朝鮮との緩和した情勢を維持し、戦争を避けたいと考えているからです。そのため、韓国側の反対によって日本側の一部の強硬な政策的提言はあまり大きな影響を及ぼさないでしょう。

 

人民中国インターネット版2018年2月14日

 

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