中日米の3国関係の将来は?

2020-02-21 12:23:26

中国国際戦略研究基金会張沱生= 

東アジアひいてはアジア・太平洋地域における大国関係、とりわけ中日米の関係は地域の平和と安定、発展に大きな影響を与えている。現在の中日米の3国関係について、以下の二つの面から述べたい。一つはこの3国関係における新たな変化。もう一つは3国関係の未来像および発展のための努力の方向だ。 

 

習近平国家主席は912日、ロシアのウラジオストクで開かれた「東方経済フォーラム」で安倍首相と会見し、

中日関係をさらに改善、発展させるという新たな認識で一致した。 

中日米の3国関係における新たな変化

2010年以降、中日米の関係は不安定、不均衡の状況にある。しかし、17年から重要な変化が起きている。

 積極的な変化――中日関係の顕著な改善。10年と12年に、釣魚島を巡る危機が2度起こった。その後、中日関係は国交正常化以降で最も冷え込んだ時期を迎え、軍事衝突のリスクも高まった。14年末、両国は「四つの原則的共通認識」で一致し、中日関係は徐々に改善へと向かったが、その足取りは鈍かった。しかし、17年から両国関係に明らかな改善の勢いが見えて来た。今年5月、李克強総理の訪日が示すように、中日関係はようやく正常な発展の軌道に戻った。両国は現在、安倍首相の10月の中国公式訪問に向けて調整を進めており、いくつかの協力項目が両国首脳の協議スケジュールに入っている。中日関係におけるこのような前向きの変化は、国際社会から広く歓迎されている。

消極的な変化――中米関係の悪化傾向。10年から、米国はアジア・太平洋地域で進めているリバランス戦略に伴い、中国へのけん制を強め、両国のあつれきが増して来た。だが、昨年の秋までは総体的に安定を保っていた。ところが、昨年末から米国は続けて三つの戦略報告を発表し、中国を「戦略上の主な競争相手」「修正主義国家」とみなし、対中政策を大きく転換した。その間、米国議会は複数の台湾関係法案を可決したため、「一つの中国原則」への挑発となった。さらに、米国は今春、中国の強い反対も顧みず中国に対し貿易戦争を起こした。このため、中米関係はいっそう悪化し、深刻な状況に陥った。

微妙な変化――近年の日米関係。2010年から16年にかけて、中国の急成長に対応するため、日米同盟は絶えず強化されて来た。しかし、17年に入って米国ではトランプ政権が誕生し、「アメリカ・ファースト」や一国主義、グローバリゼーションに反する保護貿易政策を強く推し進め、国内外に向けてさまざまな無責任な政策発言を繰り返した。これに対し、日本は強い懸念を持っている。米国が環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱した後、日本は主導するTPP11を推進し続けている。米国の日本製品に対する関税の引き上げも、日本側から強い反発を受けている。また、米国がいずれも離脱を表明した地球温暖化対策の国際ルールであるパリ協定やイラン核合意について、日本は依然として両方の有効性を認めている。安倍政権は日米同盟関係を維持しようとしているが、両国はさまざまな分野において対立が深刻化している。

中日米関係の未来像と発展への方向

今後も比較的長い期間、中日米の3国関係はアンバランスな状況が続くと私は考えている。

197080年代の中日米関係は良好で、全体的なバランスと安定、協力が主な特徴だった。このような特徴は、2006年に中日関係の政治的なこう着状態が打開された後も一時的に現れていた。しかし、中日・中米間の相対的な実力の大きな変化につれ、この二つの二国間関係は相次ぎ、あつれきが頻繁に発生する時期に入った。このような変化が長く続くことに、3国は適切に対応すべきだ。将来、日米両国が中国の平和的な台頭を受け入れ、中国も平和的な発展の道を歩み続けてこそ、中日米関係は再び全体的なバランスと安定、協力の状態を実現できるだろう。

 

1980年代の宣伝ポスター。比較的良かった当時の中日米関係がうかがえる。 

 

しかし、これは中日米関係のアンバランスが、今後しばらくはまったく変化しないという意味ではない。このアンバランスは、さらに激化する可能性もあり、緩和される可能性もある。どのように進展するかは、中米関係の変化次第だ。それに次いで中日関係も影響を与える。

中短期にわたって、あつれき、競争が強まる中、中米両国が競争とリスク・コントロールについて共に努力し、必要な対話協力を堅持すれば、中米関係の衝突や敵対、全面的な悪化は避けられるだろう。そうなれば、両国が協議を通して安全保障のジレンマから抜け出すための良い条件を作り出し、また日本が対中関係を引き続いて改善・発展させることにも有利である。しかし、もし中米関係が大きく悪化し、政治、経済、軍事・安全保障、科学技術など各分野において過度の競争を招けば、冷戦のような状態に陥りかねない。こうした事態は、米国の同盟国である日本の対中関係改善への努力にも重大な影響を与え、中日米関係におけるアンバランスはさらに深刻化するだろう。

中米関係が大きく変わる中、中日関係はこの3国関係において重要性が高まる。この点について中日両国はしっかりと認識すべきだ。歴史を振り返えってみればわかる。1970年代、中米関係が先に改善した後、中日は国交正常化し、平和友好条約を締結した。中日関係の急速な発展は、中米の国交正常化や関係の発展を促す重要な役割を果たした。80年代末から90年代初頭にかけて、米国を先頭に西側諸国は中国に対して全面的な制裁を実施した。日本も一時制裁に加わったが、中国が孤立することには、はっきりと反対した。その後、日本は率先して海部首相(当時)が訪中し、対中経済制裁を解除した。中国が西側諸国の全面的な制裁を破る上で、日本の政策は重要な役割を果たした。現在の新たな情勢の下、中日両国の共通利益はますます増えている。正常な発展の軌道に戻った中日関係が、引き続き安定し発展し続けて行けば、両国の全面的で長期的な利益にプラスであり、中日米関係のアンバランスの緩和にもつながるだろう。

 

敵対と協力は中米関係の発展プロセスで常に錯綜してきた。 

 

中日両国にとって、今はまさに共同発展の方向を改めて確認する時だ。両国は四つの政治文書の精神を踏まえ、「小異を残して大同につく」方針を堅持し率先して摩擦を減らすことにより、中日関係を「協力パートナーとして互いを脅かさず」、「互いの平和発展を支援する」という正しい方向に向けて発展させなければならない。中日関係の安定した発展が実現できれば、中米関係の将来にもプラスの影響と重要な啓発を与えるだろう。

 

人民中国インターネット版 2018年9月28日

 

 

 

 

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