「一帯一路」イニシアチブは未来のグローバルガバナンスに知恵を提供する

2020-02-21 12:22:57

文=王朝陽

1122日から23日にかけて、「現代中国・世界シンクタンクフォーラム2018」が成都で開催された。一帯一路日本研究センターの進藤榮一代表は招きに応じてフォーラムに出席し、大会で講演を行った。日本で最も早く「一帯一路」イニシアチブに関心を寄せた識者として、進藤氏は同イニシアチブに対する日本社会の認識の変化や、グローバルガバナンスの改善における同イニシアチブの意義を深く理解している。

消極から積極へ転換する年

進藤氏が所属する一帯一路日本研究センターは昨年1130日に発足した。昨年は日本社会が「一帯一路」イニシアチブに対する姿勢が消極から積極へ転換した鍵となる年でもある。進藤氏は次のように振り返る。「『一帯一路』イニシアチブが提起されたばかりの時、日本でこれはチャンスなのかそれともリスクなのかという見方があったが、リスク派が多数を占めた。当時、『一帯一路』が何なのか、何をすればいいのか、分かる者がいなかった。これは中国の膨張主義ではないかと、日本が協力しても中国に利用されるだけで、かえって損をするのではないかという考えを持っていた」

昨年、トランプ氏が大統領に就任し、氏が推し進める「アメリカ・ファースト」が米国と同盟国の関係に影響を及ぼした結果、日米同盟の不確実性が高まり、自民党内部で経済的な利益の最大化を求める経済派と、日米同盟の安定維持を重視する安保派の力の変化が間接的に生じた。

フォーラムで発言する進藤氏

進藤氏は次のように分析する。「経済派の力が増し、安保派が衰えたことが、昨年に日本社会の『一帯一路』イニシアチブに対する認識が消極から積極へ転じた直接的な原因だ。一番のターニングポイントは、同年928日に駐日本中国大使館が主催した国慶節および中日国交正常化45周年を祝う式典に安倍首相が出席し、『一帯一路を日中外交の局面を打開するきっかけにしたい』と表明したことにある」

昨年は「一帯一路」イニシアチブに関する重要な出来事がもう一つあった。それは、5月に自民党の二階俊博幹事長が「一帯一路」国際協力サミットフォーラムに出席したことだ。自民党内の経済派の代表者として、二階氏の出席には日本経済界が中国市場を重視する姿勢が反映されていた。これについて、進藤氏は次のように述べる。「現在の日本の経済界や外交界では、日本経済の復興と繁栄は、中国やアジアとの共生を抜きにしては考えられない、というのが主流な意見になっている」

「一帯一路」イニシアチブを研究するシンクタンクの代表として、進藤氏はより多くの日本人に同イニシアチブを理解させるために緊張感を持っている。「現在、『一帯一路』イニシアチブに対する日本社会全体の姿勢は積極的な方向に変わり始めたが、メディアがまだ積極的な動きを見せていない。われわれ知識人は自分の観点を一層発信すべきだ」

グローバルガバナンスの改善に寄与

進藤氏は、「一帯一路」イニシアチブの多くの価値観がグローバルガバナンスの改善に参考になると考えており、次のように指摘する。「今までのグローバルガバナンスは欧米の基準、即ち西洋の民主制度と資本主義の下で構築されたものだ。貧富の差の拡大やテロリズムの蔓延など世界的な課題に直面する中、現在のガバナンス体系ではうまく対応できなくなっている。従って、これを見直して、改善する必要がある。『一帯一路』イニシアチブに含まれる平等やウインウインなどの理念、持続可能で包摂的な発展、貧困をなくし、テロを抑止する目標は、まさしく未来のグローバルガバナンスに必要な要素だ」

ユーラシア大陸を横断する鉄道を例に、進藤氏は次のように分析する。「『一帯一路』イニシアチブは辺境地域と中心地域の距離を縮め、情報、労働力、物資、資本をより迅速に流通できるようになった。これにより、成都市を含む多くの内陸都市が発展のチャンスを得たことが分かる」

今後、大規模な展開の可能性がある中日の第三国での協力について、進藤氏は大きく期待している。氏はタイにおける両国のインフラ整備協力を例に取り、このモデルが中国、日本、タイの3カ国に対して有益であるばかりか、今後のアジア太平洋地域において、メコン川流域開発などのような地域協力事業にとって、手本となる意味合いを持つ、と考えている。そして、「一帯一路」イニシアチブの今後の発展に対し、次のような確信を示した。「国境を越える協力プロジェクトは北欧などですでに実施されており、アジアでも同様のプロジェクトを実施できる。このような協力は経済的な利益だけではなく、地域の安全保障にも役立つ。政治の安定はまた『一帯一路』イニシアチブの更なる展開を確保する」

 

 

人民中国インターネット版20181130

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