白書が明らかにする新時代の中国と世界の関係

2020-02-21 12:21:11

 

中国の発展がめざましいことは今日の世界で最も顕著な現象の一つだ。世界で既に形成されている共通認識は、中国の台頭は国際的な枠組みの変化を直接もたらし、必ずや世界秩序の行方に対して重大かつ深い影響を生み出していくということだ。中国は事実上アメリカに次ぐ超大国であり、世界の舞台の中央で役割を発揮し始めており、今後世界が多極化していく見通しであるとしても、「二極競争」に適応するかなりの過渡期が必要だと一部の国は考えている。

誤解への回答

このような状況のもと、世界では中国発の情報に対する需要が急速に拡大し、中国はどのような国になるのか、世界に対してどういった求めを抱いているのか理解したいと渇望している。とりわけここ数年、中国の国力の急速な高まりと国内外における振る舞いの調整変化に従い、一部の小国や大国の中から恐怖感が湧き上がっている。それは、中国が地域の軍事バランスを打破し、各国の安全保障の主導権と覇権主義的な行動の自由を脅かすことへの恐れでもあり、また中国とアメリカが真っ向から戦略的にぶつかり合い、その他の国がどちらの側につくのか選択を迫られる苦境に陥ることへの恐れでもあり、中国が地域もしくはグローバルな支配勢力となり、その他の国は中国のモデルルールスタンダードに従うことを迫られるという恐れでもある。

過去1年余り、経済貿易摩擦を発端として中米間の矛盾はあらゆる方面に広がり、両国の関係は急速に悪化した。国際社会は中米関係の先行きに関する判断を絶えず調整し、「貿易戦争」「テクノロジー戦争」が生み出す「デカップリング」がグローバル産業チェーンないしはシステム全体の大々的な破壊を引き起こすことを日増しに心配している。

これらの恐れに対し、中国は常に回答し、自国の政策を表明することに注ぐ力を絶えず強めており、二国間の対話協議の枠組みを通じ、また国際的な場で、多くの中国政府要員や専門家、学者も国際メディアに出て説明を行っている。しかし、誤解の溝は大きく、中国側は信頼増進と疑念解消においてまだ多くの努力を重ねる必要がある。

9月27日、中国国務院新聞弁公室は「新時代の中国と世界」白書を発表し、これは中国が世界に向けて自国を説明した最新の試みであり、もちろん10月1日の中華人民共和国成立70周年の盛大な式典の前になされた一連の関連活動の一つでもある。徐麟中央宣伝部副部長国務院新聞弁公室主任は会見の中で、この白書は「中国はどこから来て、どこへ向かうのか」「中国はどのような世界の構築を推し進めるのか」「発展を遂げた中国は世界とどのように向き合うのか」といった問いをめぐって、中国の発展の成果、発展の道、発展の方向を体系的に紹介し、中国と世界の関係を踏み込んで論述し、中国の発展に対する国際社会の知識と理解を広めようとしているとした。

これは中国が初めて自国と世界の関係の問題について発表した白書ではない。2005年12月22日に発表された「中国の平和的発展の道」白書は、平和的発展の道は中国の現代化建設の必然的な道であり、中国政府と中国の人々が平和的発展の道を歩む決心は揺るぎなく、中国は必ずや人類の平和と発展という崇高な事業に対してより大きな貢献を果たすと強調している。2011年9月6日に発表された「中国の平和的発展」白書によれば、中国の平和的発展は「国が強くなれば必ず覇を唱える」という大国の台頭における従来のモデルを打破した。平和的発展の道は世界最大の発展途上国である中国が探し出した新型の発展の道で、その世界的意義をよりはっきりと示している。この白書で最も注目を集めたのは、中国の「核心的利益」を明確に定義したことだ。つまり、国家の主権、国家の安全、領土の一体性、国家の統一、中国の憲法が確立した国家の政治制度と社会大局の安定、ならびに経済社会の持続可能な発展の基本的保障だ。

過去の2つの白書が論述したのは「調和世界」の理念に基づく中国自身と世界との関係への理解であるとすれば、最新の白書は中国が既に中国の特色ある社会主義建設の新時代に入ったという背景にのっとったもので、中国と世界の関係は根本的な変化が生じているという新たな現実に立脚し、より強い自信とより建設的な態度で、強大になった中国の対外的な約束などを論述し、現在のグローバル体制と国際秩序に対して改革を進める意識を体現している。

新時代の新たな現実

中国の新時代は多くの特徴があり、その中の一つが中国と世界の関係も新時代に入ったということだ。新時代の中国と世界の関係で、中国の外交政策は質的変化が生じており、この質的変化は中国が極めて弱く貧しく抑圧された発展途上国から、文明的で富み栄え、自発的建設的な責任を負うグローバルな大国へと変わることであり、中国がグローバル体制の外側から中心へと進み、グローバル体制の参加者受益者からグローバルガバナンスの改革者推進者へと役割が変わることだ。

新時代の中国と世界の関係についての指導思想は習近平外交思想であり、この思想は中華文明の優れた伝統と中華人民共和国の対外関係の移り変わりの成果を受け継ぎ、今日における世界の発展変化の大勢とチャンス試練の分布を洞察する基礎の上で徐々に形成されたもので、人類運命共同体の主張を基本命題とし、新型の国際関係、新型の経済のグローバル化、新型のパートナーシップ、「共同協議共同構築共同享受」の原則、「相互信頼互恵平等協力」の新型の安全保障観といった複数の理念を支えとし、「一帯一路」、アジアインフラ投資銀行(AIIB)、新興5カ国(BRICS)協力など新型の国際的な公共財をもたらしており、その核心となる要旨は国連を中心とする国際体制を維持し、これまでの積み重ねを放棄する方法を用いず改革によりグローバルガバナンスを整備し、より公正で合理的かつすばらしい国際秩序を築くことだ。

白書が発表された同日に、王毅中国国務委員兼外交部長は第74回国連総会の一般討論で演説を行い、そのテーマは「今日の中国、世界の中国」だった。王毅外交部長は演説で、中華人民共和国の70年は中国が絶え間なく世界へ融け込み、貢献を果たした70年であると語り、また新時代に入り、中国の人々は過去のいかなる時よりも中華民族の偉大な復興を実現する自信と能力を持ち、過去のいかなる時よりも人類のためにより大きな貢献を果たす条件を備えているとした。

中国はより多くの平和的発展への発言とグローバルガバナンスに参加し、導く行動によって、中国は権力の移行覇権の争奪地理的拡張の視点から将来の世界における自国の役割を定めているのではないことを世界に証明していく。

(安剛 本誌特約ライター、盤古智庫高級研究員)

「北京週報日本語版」20191017

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