理想へ前進する国家統治

2020-02-21 12:20:21

中国国際交流協会理事 文徳盛=文

以前、外国から来た友人たちの北京観光を1日案内したことがある。600年以上の歴史を誇る故宮や、約100年前に建造された民国国会議場、現在も使用されている人民大会堂を見学した彼らのほとんどは、建造物が持つ歴史の重みに感動していた。それらの建物が、アヘン戦争から現代までの約200年間に起きた中国の巨大な変化を反映しているだけではなく、中国人が古来持つ国家統治の理念の継承と発展をも示しているからだ。

 

5000年前に構想された理想の国

 中華文明5000年の悠久の歴史において、中華民族の文化の始祖と言われる黄帝は後世の中国人からあがめられている。黄帝がこのような栄誉に浴しているのは、さまざまな伝説が残されていること以上に、彼が中国を理想の国につくり上げて統治したことがより重要だと考えられる。

理想の国とは一体どういうものか。はるか昔の話になるが、古典に記載されている故事からその基本的な姿を大まかに見ることができる。列子(約紀元前450~前375年)は中国戦国時代前期の思想家で、彼の著書『列子』には示唆に富んだ100話余りの寓話や説話が収録されている。『黄帝神遊』はその最も代表的なものだ。話の内容はこうだ。黄帝は国を30年間治めてもそれが理想的とは思えなかったが、夢で訪れた華胥国こそ、天下が民のもので、尊卑の別がなく、平和で幸福に満ちた自由で平等な社会であることに気付く。目覚めた黄帝は華胥国を目標として国を統治し、28年かけてようやく天下泰平を実現した。黄帝の死後、民衆は200年余り泣き続けたという。この説話は、黄帝を中国の統治と政治で成功した模範的な始祖とし、中国の伝統的な社会の理想である国家像を描いており、中華文化における「天下大同」(平等で互いに助け合う理想社会)という世界観への憧憬を述べている。

 

たどり着いた社会主義の道

中国近現代史における約200年間の国家発展の道の模索を振り返って見ると、人類の歴史上唯一無二であると言える。この初期において、植民地主義と帝国主義の圧迫の中、長期にわたって貧しく弱く、封建主義制度下にあった中国の王朝は歴史的な模索を迫られた。この模索は制度面で反映され、中国は当時の欧米列強がすでに構築した国家体制の数々を手探りで模倣し、実践した。封建制の改良から立憲君主制の革新、英国式の議会制民主主義の構築から民主共和制の模索、そして米国式の大統領制の実施に至るまで、中国は旧民主主義革命時(1840~1919年)に封建主義と資本主義における代表的な制度の成果を一通り試した。しかし、どれも中国の将来や運命に関わる問題を解決できず、中国の国情に合わなかった。中華民族はこのために大きな犠牲と代価を払ったのである。

新民主主義革命時(1919~49年)にマルクス主義が中国に伝わり、中国共産党が歴史の舞台に姿を現し、労働者と農民が時代を変革する主役になった。全く新しい革命が中国共産党の指導の下で盛んに展開され、社会主義制度を持つ新中国が最終的に成立した。中国人はようやく待ち望んだ平和と安寧を手に入れた。その後70年間にわたる社会主義の革命と建設、改革の中、特に40年余りの改革開放を経て、中国が徐々に中国の特色ある社会主義制度を模索し構築したことで、中華民族は本当の意味で繁栄と富強の道を歩んできた。中国人はこうして、努力の喜びを味わい、成功の幸せを覚え、勝利の自信を持ったのだ。

これらは皆並大抵のことではない。中国が世界最大規模の人口の中で行ったこれらの歴史的な模索と実践は、世界の政治史と文明史上極めてまれである。現在そして未来においても、人類の文明の発展に大きく深い影響を間違いなく与えることだろう。

 

偉大な復興に向けた今後の目標

  中国人が新中国成立70周年を熱烈に祝った昨年の10月末、中国共産党第19期中央委員会第4回全体会議が開かれ、「中国の特色ある社会主義制度の堅持と整備、国家統治システムと能力の現代化の推進における若干の重大な問題に関する党中央の決定」が審議・採択され、新中国の制度建設に対して歴史的な整理を行った。これは中国共産党の歴史上、そして新中国の歴史上初めてのことだ。

 

 新中国が成立して70年、中国共産党の指導の下で中国人は世界でも類を見ない経済の急成長と社会の長期的安定を実現し、中華民族は「立ち上がり、豊かになり、強くなる」という素晴らしい飛躍を遂げた。事実が証明しているように、中国の特色ある社会主義制度と国家統治のシステムは、マルクス主義を指針として中国の大地に根を下ろし、しっかりした中華文化の基礎を持ち、人民の厚い支持を得る制度と統治体制だ。また、強い生命力と大きな強みを持つ制度と統治体制であり、約14億人の人口を有する大国の進歩と発展を推進し続け、5000年以上の文明史を持つ中華民族が「二つの百周年」を節目とする奮闘目標を実現し、ひいては偉大な復興を実現することを確実に保証する制度と統治体制だ。

 

 現在、世界は百年に一度の大変革を迎えている。中国の特色ある社会主義制度の堅持と整備で、中国の制度の優位性を国家統治の効果により良く転化させ、「二つの百周年」を節目とする奮闘目標の実現と、中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現を強力に支えることができる。中国の特色ある社会主義制度の堅持と整備、国家統治のシステムと能力の現代化の推進の今後の全般的な目標は次の通りだ。中国共産党結党100周年(2021年)までに、各方面の制度をより成熟させ、さらに定型化し、具体的な成果を得る。2035年までに、各方面の制度をより整備し、国家統治のシステムと能力の現代化を基本的に実現する。新中国成立100周年(2049年)までに、国家統治のシステムと能力の現代化を全面的に実現し、中国の特色ある社会主義制度がより強固になり、その強みが十分に発揮されるようにさせる。 

 米国のキッシンジャー元国務長官は、中国人の抗戦・奮闘・発展の歴史に対し、次のような言葉を述べている。「中国が約200年間で経験した数々は、歴史的に見れば偶然の出来事であるかもしれず、常に起こることではない。今後、中国がかつての地位に戻っても、驚くほどのことではない」

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