「茶発祥の地は中国」という話はよく知られているが、「紅茶の発祥地は?」と問うと、なぜかインドなどという答えが返ってくることがある。中国と紅茶はそれほどに遠く、結び付かないものだった。それは従来中国人が紅茶を飲む、というイメージがなかったからだろうか。だが最近の中国における紅茶ブーム、とりわけ福建省の{きんしゅんび}金駿眉に代表される高価な紅茶の登場により、その認知度は格段に上がっており、一般の人々が中国の紅茶に興味を持ち始めている。
そんな中、中国紅茶を扱う中国の友人の紹介により、各地の茶産地を訪ねる機会が得られることになった。その数は何と18カ所もあるというので、驚いた。この機会に紅茶の好きな人にも、そうでない人にも、中国の紅茶産地の存在を示し、その歴史背景、文化背景、そして現状を紹介できればと思っている。なお中国では筆者が15年前から使用している「茶旅」という言葉が、最近各地で聞かれ、新たな産業化の気配がある。