8月号のおすすめ
新写稿
2017年8月5日発行
定価400円(本体370円)
 
特集 経済成長の新たな原動力 シェアリングエコノミー
特集1 自転車がブームを先導
特集2 サービスの現地化進む
特集3 知識共有が変える生活
特集4 日本進出の鍵は決済法

 シェアリングエコノミーとは何か? 一般的には、遊休資源を持つ機関や個人がその使用権を有償で他人に譲ることで価値を生み出すビジネスモデルを指す。その本質は、使われていない商品や労働力、その他の資源を整理統合して、その使用効率を高めることにある。Web2・0時代以降、よく知られるようになったシェアリングエコノミー。例としては、「Uber(ウーバー)」や「滴滴出行(ディディ・チューシン)」などの配車アプリ、「Airbnb(エアビーアンドビー)」などの空き部屋短期レンタルアプリ、「在行(ザイハン)」「分答(フェンダー)」などの知識・技能共有プラットホームが挙げられる。だが、より多くの人々にとって、シェアリングエコノミーに対する理解は街角にあるシェア自転車から始まった。

「2016年度中国シェアリングエコノミー発展報告」によると、16年、中国シェアリングエコノミーの市場規模は3兆9450億元に達し、成長率は76・4%だった。国家情報センターも今後数年で、シェアリングエコノミーは中国で年平均40%ほどの成長速度を維持し、20年には取引規模が国内総生産(GDP)の10%以上を占めることになると予測している。

 現在あるいは今後、シェアリングエコノミーはわれわれの生活に一体どんな変化を引き起こすのだろうか? これから皆さんに詳しく解説したい。

美しい中国(成都)上
都江堰がつくった美観
水郷に残る歴史と風習

去年の5、6月号に続き、今月号の「美しい中国」では再び成都を訪れた。成都市を育む成都平原は紀元前256年に建造された{とこうえん}都江堰水利(治水・灌漑)施設によって、2000年以上の時を経てもなお、豊かで恵まれた土地を残し、古くから「天府の国」と呼ばれている。そして、成都市西北部で発掘された金沙遺跡は3000年余り昔の古蜀文明の輝かしい姿をわれわれに見せてくれる。また、当時の人々の太陽信仰は日本にもなじみ深いものだ。記事では金沙遺跡博物館の館長からこの博物館独特の未来へ向けた取り組みを教えてもらった。

成都市から南へ下った黄竜渓古鎮は1700年以上の歴史を持つ水郷の町で、明代や清代の町並みを残し、南宋時代から続く伝統行事が生き続けている。この地方の名物「一本麺」は「長寿麺」とも呼ばれる祝い事には欠かせない伝統食で、街角では日々麺を伸ばして観光客を楽しませる麺職人のパフォーマンスを見ることができる。

今月号では、水害の多い地で果敢に自然に挑んだ先人の知恵と努力を知り、ユニークな古代文明に思いをはせ、当時の様子をそのまま残して素朴だが活気にあふれる古い町並みの様子を見て、豊かな自然と文化に育まれた成都の姿を楽しんでいただきたい。

report
革命軍人だった砂原恵さん
「日本は母国、中国は祖国」
    砂原恵さんは5歳の時に父親の派遣で、家族と共に中国東北地方に移り住んだ。日本敗戦後、転々と遼寧省のある村にたどり着き、苦境に陥っていた砂原さん一家は村民たちに受け入れられた。1948年、16歳にも満たない砂原さんは母の反対を顧みず、家を離れ、「張栄清」を名乗って共産党の指導する解放軍に参加した。新中国成立後、砂原さんは両国間を往復し、貿易の仕事に従事するようになり、少しでも中国の建設に力になりたいと思っていた。
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