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豊かさ求めて絵筆をふるう

 

障害者の自立をサポート

 

 呉さん兄弟は、運命を変え、成功するという当初の目標を成し遂げた。今は、母親や家族を深センに呼び寄せ、暮らしている。そして成功した農民の例に違わず、故郷に立派な家を建てた。「母親のメンツを立てるためです。故郷の人たちに、呉家の息子は成功したということを示しているのです」と呉さんは説明する。

 

 呉さん兄弟は作業場を会社にした。毎月の売り上げは2030万元に達する。絵画はコンテナ輸送により大量に欧米市場に運ばれる。

 

 呉さんは、大芬村の油絵のレベルを向上させ、村の一大産業にしたいと考えている。そこで、呉さんが会長を務める美術産業協会は、市場の開拓や画廊の経営、中国最大の総合見本市「中国輸出入商品交易会」への参加などを推進したり、創作の糧となるように、画家たちを黄山や徽州、杭州など風光明媚な地へ連れて行ったりしている。

 

大芬村に住む香港の画商、黄江さん

 「大芬村の油絵は、低レベルのままでとどまっていてはいけません。オリジナルを生み出す能力がなければ、今後の発展はないのです」と指摘する。

 

 兄の瑞周さんはここ数年、弟子や画工の育成に力を入れている。これまで育てた弟子のうち、200人以上が大芬村で画家として独立している。

 

 瑞周さんの弟子のほとんどは、貧しい家の出身だ。彼らは、向上心があり、意志が強く、聡明でよく学ぶ。

 

 呉さん兄弟の会社では、孤児や身体に障害を持つ若者なども受け入れ、育成している。「彼らを見ると、自分の辛かった日々を思い出します。だから、何とかして助けてあげたいのです」と呉さんは話す。

 

 呉さんによると、障害者たちは健常者よりも落ち着いていて、集中力があるため、絵画を学ぶのに適しているという。この方面の技能を習得すれば、健常者と同じように自分で働いて生きていくことができる。これは、呉さんにとっての社会貢献でもある。

 

大芬村には700軒以上の画廊がある

 呉さん兄弟はさらに、大芬村に障害者を受け入れる「東方愛心芸術学校」を建設しようと計画している。彼らに無料で絵画制作を教え、彼らの自立をサポートしたいと考えているのだ。  (馮進=写真 侯若虹=文)

 

 

参考データ 

大芬村は深ロレ市竜崗区布吉街道の管轄下にある小さな村。面積は0.4平方キロ、もともとの人口は300人あまり。

大芬村は複製画やオリジナルの油絵の制作が主であるが、中国画、書、工芸、彫刻、額縁、顔料など付随産業も盛ん。同村を中心として、福建省、広東省、湖南省、江西省や香港、澳門特別行政区などに油絵産業圏が広がっている。大芬村の油絵は主に欧米やアフリカに輸出される。

 

人民中国インターネット版

 

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