ラジオがつなぐドライバーの心
運転に欠かせない交通情報
北京の人々は自動車にたいへん関心を持っている。そこで北京交通ラジオ局は、自動車展示会のたびに現場にスタジオを設置し、公開収録を行う(北京交通ラジオ局提供)
タクシーの車内でも、マイカーの車内でも、北京で今一番よく聴かれているラジオ放送は、「こちらは103.9の北京交通ラジオ局道路交通情報です。〇〇路〇〇方向は車が多く、混雑しています。〇〇区域では交通事故が発生しました。運転手のみなさん、迂回して渋滞を避けてください」というものだろう。
北京交通ラジオ局の「1039自動車クラブ」は貧困地域への寄付活動をよく行っている
北京交通ラジオ局の放送がスタートしたのは1993年12月18日。放送を始めた頃は、ありふれた中波放送(AM)にすぎなかった。
当時は交通ニュースと三十分ごとの交通情報を発信。主なリスナーはタクシードライバーで、まだごく少数だったマイカー族たちは、流行の音楽を聴きながら運転するのを好み、ラジオは聴かなかった。
北京のタクシードライバーたちは北京交通ラジオ局を通じて、寄付金で河北省武邑県の農村に小学校を建設した。小学校の名前は「北京的士(タクシー)希望小学」と命名(北京交通ラジオ局提供)
90年代後半から北京の都市部の人々の居住条件はどんどん良くなり、中心地から少し離れた新興住宅地に移る人が増えた。それにともない、マイカーが急増。道路の渋滞もひどくなり、路上で過ごす時間が長くなった。そこで車の中でラジオを聴く人が増え、交通情報の需要もますます拡大していった。このため、北京交通ラジオ局は1998年、放送の質を高めて都市の急速な発展に適応するため、中波から周波数変調(FM)に変え、毎日24時間放送するようになった。
交通ラジオは、知らず知らずのうちに生活の中に入り込んでいった。さて運転しようというとき、まずラジオをつけ、チャンネルを103.9に合わせる。とくにタクシードライバーは、この交通情報を聴いて運転ルートを選ぶ。
北京交通ラジオ局は専門のラジオ局だが、ここ数年の広告収入は北京のすべてのラジオ局のなかでトップだ。昨年は2億5000万元以上に達した。聴取率も北京地区のトップと、その人気をうかがい知ることができるだろう。