暮しに入り込んだ天気予報
予報はあくまでも予報
かつて農村では、お年寄りたちは「東の虹は晴れ、西の虹は雨」「アリが巣をつくると雨が降る」「綿雲は雨が近い」「朝、入道雲が出ると午後は大雨」のようなことわざによって天気を予報した。しかし今では、空の動きが分かる人は少なくなり、いつでも聞ける天気予報に頼るようになった。
農民の需要に応じた天気予報を放送する山東ラジオ局
しかし天気予報は100パーセント正確ではない。北京では、雪や豪雨を予報できず、全市の交通が麻痺状態に陥ってしまったことがある。また、2005年に台風9号が接近したときは、「ここ10年で最大の豪雨」と予報したが、はずれた。
天気予報があたらないことに人々は不満を持っている。唐代の詩人、劉禹錫の「楊柳青々として江水平く 郎の江上に歌を唱う声を聞く 東辺日出でて西辺雨ふる 道うは是れ晴無きは却て晴有ると」の最後の一文を借りて、天気予報があたらないことを皮肉る人もいる。
楊貴名さんも、天気予報があたらないとの苦情をよく耳にすると話す。かなり厳しく非難されることもあるという。「彼らの気持ちはよく理解できるし、こういった非難にも慣れています。私たちは天気予報をもっと科学的で正確なものにしなければならない。しかし一般の人々の気象に関する知識も、もっと深める必要がある。気象に物理や化学、数学のような精確さを求めるのは不可能です。どちらにしろ、天気予報に対する『希望』と『失望』が大きくなっているのは、天気予報が生活に欠かせないものとなった証拠でしょう」 (劉世昭=写真 侯若虹=文)
参考データ
▽北京オリンピックの期間中は、詳細な天気予報が繰り返し提供される予定。北京や青島などには自動観測ネットワークやドップラーレーダーなどが増設され、気象衛星からの画像の送信も通常の1時間1枚から30分1枚のペースに増える。また、短時間気象警報システムも確立し、大気環境のリアルタイム情報と数分から12時間以内に災害をもたらす恐れのある天気を即時に予報し警報する。
▽今のところ、2~3日後までの天気予報の的中率は70~80%。2010年までには、一般に提供する天気予報を現在の2~3日後から7日後までに伸ばしたいとしている。さらに、重大な災害をもたらす気象現象に即時対応できる警報システムを確立し、30分以上前に雷雨、暴風、山津波、土石流など局地的かつ突発的な災害の警報を出す。気象警報の普及率は95%に達する見込み。
▽日本や米国などでは、「降水確率70%」などと確率予報を行っているが、中国では行っていない。一時、北京などで試みたことがあるが、人々がそれに慣れず、理解できなかったため、中止した。 |
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