経済を越えた真のパートナーに
【プロフィール】東京大学経済学部経済学科卒業。2004年12月~2005年8月、韓国ソウル大学に留学。現在、東京大学人文社会系研究科博士課程に在籍。2007年9月より中国政府奨学生として北京語言大学に留学中。 写真は、初めてチャイナドレスを着た時(左側が筆者) |
私は大学院の修士課程で日本の金融システムに関する研究を行っていましたが、博士課程進学と共に、私の関心はアジアの金融協力を含む経済連携へと向いていきました。
現在、欧米ではNAFTAやEUが結成され地域共同体としての力を強める一方、アジアは地域共同体の結成に遅れをとっています。キリスト教などの共通基盤がある欧米と違って、アジアは政治、社会、文化的な面であまりに多様であるため、地域共同体の結成が難しいというのが定説です。それでも、アジア全体の繁栄には地域共同体の結成は不可欠だと考え、私はそれを研究テーマとすることに決めました。
政治学者のサミュエル・ハンチントンが「東アジアの将来の平和と幸福は、日本と中国が共に生き、ともに進む道を見つけることにかかっている」と言ったように、地域共同体の中核となるのは日本と中国です。両国が互いを理解し、未来について真剣に考えることが共同体結成のカギになると考えられます。しかし、現在の日本では、主にマスコミを通して中国の一つの側面しか伝えられず、国民の間で歪んだ中国像が形成されているように感じます。
以前韓国に留学していた時、ちょうどマスコミで竹島問題や歴史教科書問題が騒がれていたせいか、韓国人からよく「RIEは好きだけれど、日本は嫌いだ」と言われました。それを聞くといつも切ない気持ちになりました。しかし、その時に韓国人がなぜそう思うのか、また日本人はどう考えているのか、腹を割って思い切り話し合うことができませんでした。
ですから中国では、中国の社会、歴史、文化、経済を色眼鏡抜きで学び、直接対話することで中国人が日本や日本人に抱いている本心を聞き、また私も本心を語りたいと思っています。
一人の力は小さいように見えても、国を形成しているのは紛れもなく国民一人一人です。14億人と1億人が一度に会うことはできませんが、一人一人が顔を合わせ、交流を続けていけば、両国が単なる経済上のパートナーにとどまらず、心から理解し合える真のパートナーになることができると信じています。 (北京語言大学留学生 沢本吏永)
【おすすめスポット】
北京市の西北部にある「頤和園」は、歴代皇帝の庭園だったところが清の乾隆帝以降、離宮として整えられた公園です。現在は世界文化遺産にも登録されています。総面積290万平方メートルにもなる広大な敷地には、湖(昆明湖)と山(万寿山)が広がり、湖では船やボートに乗ることができます。澄んだ空気と歴史的な建造物が市内の喧騒を忘れさせてくれます。
人民中国インタ-ネット版