日本人はなぜ砂漠に植林するのか
張梅=文 日本沙漠緑化実践協会=写真
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恩格貝で植林に取り組む松村房子さん |
植林参加のきっかけは?
協会の山中勝美理事は、もともと日本の著名な大企業――日立に勤務していた。植林に参加したきっかけは、「現代用語辞書についていたNGOやNPOを紹介する付録冊子を何気なく眺めていたら、この協会のことが出ていて、中国で砂漠緑化に取り組んでいることを知った」ことだという。山中理事は2001年に103次隊に初めて参加した。そして、翌年は砂漠に半年も滞在した。「103次隊で行った後、58歳の時、植林に行くために43年勤めた会社を辞めてしまいました」
植林に参加するには、時間や労力だけでなく、渡航費用も負担しなければならない。そのため、参加者には高齢者が多い。今年86歳の松村房子さんは、旧制女学校を卒業した後で中国江蘇省南通市のカネボウに勤めていたことがあるため、中国に深い感情を持っている。遠山正瑛氏の弟の遠山正憲氏とは古くから面識があり、早くから正憲氏に植林に誘われていたが、ようやく10年ほど前に家族の同意を取り付け、砂漠に行けるようになったという。「もう若い人たちのようなことはできないから、できるだけのことをやっています。私は子どものころから、信州の山の中で育っていますので、掘ったりすることは、自然に身についているのですね。大体15分ほどで一本の木を植えられますよ」という松村さんは、「植林すると、元気になりますよ」と笑う。ところで、砂漠に比べると日本では植林しようとしても簡単ではない。ある時、砂漠から持ってきた苗を東京の公園に植えてみたが、結局誰かに抜かれてしまった。東京では、植林するにも許可がなければならないのだ。広々とした砂漠にはそうした厳しい制限がない。
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植林活動に参加する山中勝美理事 |
砂漠に起こる大きな変化
かつて、遠山正瑛氏の恩格貝での植林目標は300万本だったが、協会の努力のもと、すでに360万本の植林が達成された。植林の参加者たちは、砂漠に行くたびに変化を感じている。
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植林後芽吹いたポプラ |
さらに、生態系も回復しつつある。「ウサギや鷹が見えました。食物連鎖の頂点にいる鷹のような猛禽類が住むのは、生態系が戻っていることを意味しています。鷹がウサギなどの小動物を食べて生息できる森になったということです」と山中理事は説明する。
恩格貝の道端には遠山正瑛氏の像が立っている。作業着姿で、シャベルを手に持ち、ゴム長靴を履き、視線を遠方に向けている。彼が足跡を残した砂漠に、今では数多くの日本人が訪れ、植林することによって人類の平和に貢献したいという彼の遺志を受け継ぎ、黙々と緑を育て、自らの行動で砂漠の生態を改善し、人類の住む地球の再生を目指している。
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苗木を植えるための穴を掘るボランティア |
長いパイプを使って水やりを行う |
人民中国インターネット版 2012年1月29日