『南華録』
趙柏田 著

書名の「南華」は、作者によれば南方の精粋という意味だという。本書は400年余り以前、明末の中国南部の文人たちの風雅な生活を描いており、明代の江南地区の物質文化史と精神的文化史と見ることができる。この時代、政治的に不遇だった文人たちは、その熱意を園林、劇曲、書画、茶、酒、香料などに注ぎ、上品で精巧な物質や芸術にその心を託し、きらびやかで美しい時代を形作った。彼ら隠士のような文人と、同時代の国と民を思う文人たちは、いずれも伝統中国の両翼を構成する存在だ。1644年、明の滅亡に伴ってこれらの文人や華麗な文化が失われたことをなげく人も多い。 (北京大学出版社 2015年5月 120元)
人民中国インターネット版 2015年9月