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ふつうの日本人から見た「中国」

 

谷古宇 建仁

私は比較的ふつうの日本人だ。埼玉で生まれ育ち、小中高と公立の学校に通った。今は、都内の大学で政治学を学んでいる。先月までは就職活動をしていた。他の学生と同じようにスーツを着て、選考を受け、内定をもらった。卒業論文を書いて卒業すれば、来春からは社会人だ。日本人として、ふつうの人生を送っている。 

したがって私は、中国と特別な関わりがない。第2外国語では中国語を2年間履修して、単位は取れたが、今では少しの日常会話くらいしか話せない。中国に旅行も留学もしていない、ふつうの日本人だ。 

しかしそんな私の生活の中にも、中国はある。小学校、中学校、大学には、中国人の友達がいた。キャンパスには留学生の数も多く、そこかしこで中国語を耳にする。街でも働く中国人を見かけるし、アルバイト先にも中国人がいた。観光ツアーで来日し「爆買い」をする中国人も見かける。今まで多くの中国人に出会ったが、特別、中国人を嫌いになったことはない。 

日本文化の中にも中国はある。漢字や四字熟語、ことわざ、孔子や孟子の教えなども浸透している。日本は中国から多くの影響を受けてきた。逆に、日本が中国に与えた影響もあるだろう。海で隔てられてはいるが、その境目は曖昧で、切っても切り離せない。この関係は腐れ縁のようなもので、中国と日本があり続ける限り、私たちは永遠の隣人なのだ。 

では、近年の隣人関係はどうだろうか。現在、中国と日本の関係が悪いと思っている人は多いだろう。そう思う理由は大抵報道によるものだ。両国政府間の関係、安倍政権の動向、領土、PM2.5や歴史観の問題などは、ネガティブなイメージへと繋がるだろう。 

しかし、両国の政府間の関係が悪いということが、すなわち、中国人と日本人の関係が悪いということだろうか。私は決してそう思わない。個々人の関係は決して悪くない。 

習近平も日本料理を食べれば、安倍晋三も中華料理を食べる。インターネットやSNSで、強気な発言をする人もきっと、刺身や寿司、麻婆豆腐やシュウマイを食べて笑顔になる。レッドクリフは日本でヒットしたし、日本のアニメや漫画は中国でも人気だ。関係が良くないのは政府間で、多くの人はその報道を見て互いを嫌いになっているだけだ。突き詰めて考えて、意見をぶつけ合えば、嫌い合う理由が大したものではない気がつくはずだ。 

私はふつうの日本人だ。敢えて他の人と違うことを挙げれば、ふつうの人より中国に興味があり、大学で「地域研究(日本・東アジア)」を副専攻としたこと、大学3年次に1年間イギリスに留学したこと、政治学を学んだこと、そして来年4月から記者として働くことがある。 

中国について興味を持ち、学んでみて思った。食わず嫌いをする人もいるが、知れば中国はおもしろい。逆に中国の人にも、日本について知ってほしい。 

イギリスに留学して思った。隣同士だから喧嘩することもあるが、それはイギリスとフランスも一緒だ。日本語で言う「ツンデレ」のようなもので、政治・外交で「ツンツン」しても、文化に対しては「デレデレ」する。心底憎み合っている人は多くない。

政治学を学んで思った。その国の軍事力や経済力は、政治や外交においては意味を持つ。しかしそういった力も、元を辿れば一人一人の国民のものだ。最近、日本では安保法に関して人々が声をあげ、政治が動きかけた。人々が望めば、両国政府の政治・外交もきっと良い方向に動くはずだ。 

私は来年の4月から、ある放送局の記者として働き始める。いつか特派員になって中国の良さを日本に届けたい。また国内からも、日本の良さや、日本にいる中国人の良さを広めたい。 

来年から記者になる私は、大きな希望を持っている。両国間の関係が悪いなら、これから良くすればいいのだ。両国の人々が仲良くする姿を人々に届ける、そんな報道をする日が楽しみだ。

 

 

人民中国インターネット版 2015 年12月

 

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